出版社内容情報
「みんな、いやしい慾張りばかり。井伏(鱒ニ)さんは悪人です」??。日本文学史上最高の人気作家・太宰治が愛人との入水自殺を遂げる直前にしたためた遺書の謎を、新事実を織り交ぜながら精緻な筆致で描く。
流行作家の太宰治が東京・三鷹の玉川上水で心中事件を起こしたのは昭和23(1948)年6月13日の深夜。懸命な遺体捜索が続けられるなか、6月17日、太宰による遺書の下書きが見つかったと新聞は報じる。そこには、文学の師・井伏鱒ニに向けた言葉が綴られていた。「みんな、いやしい慾張りばかり。井伏さんは悪人です」??。「太宰治心中事件の謎は、死後、半世紀を経たいまも封印されている。『井伏さんは悪人です』が、太宰の自殺にどう関わっているのか。死ぬ直前に溢れ出た想いが遺書に込められたとすれば自殺の動機に含めぬわけにはいかない」(本文より)。関係者から得た新事実と精緻な推理を駆使し、太宰治の自殺、遺書の謎を猪瀬直樹氏が描き切る。
内容説明
太宰治心中事件の謎は、死後、半世紀を経たいまも封印されている。「井伏(鱒二)さんは悪人です」が、太宰の自殺にどう関わっているのか。死ぬ直前に溢れ出た想いが遺書に込められたとすれば自殺の動機に含めぬわけにはいかない。太宰治の「遺書」の謎に迫る本格評伝ミステリー。
目次
第1章 第一の事件
第2章 第二の事件
第3章 山椒魚の受難
第4章 第三の事件
第5章 第四の事件
第6章 三鷹・下連雀へ
第7章 太田静子の日記
第8章 山崎富栄の青酸カリ