内容説明
スパンドレルを誘惑する美しき未亡人。英国政府の代理人、軍人―。帳簿を追う面々はある者は殺され、裏切り、激しく競り合いながら欧州全土を駆け巡る。一方、ロンドンでは新たな政変への陰謀が進行していた。歴史の鍵を握る者は誰か?史実の謎に濃密な人間ドラマを融合した、これぞゴダードの真骨頂。
著者等紹介
ゴダード,ロバート[ゴダード,ロバート][Goddard,Robert]
1954年英国ハンプシャー生まれ。ケンブリッジ大学で歴史を学ぶ。公務員生活を経て、’86年のデビュー作『千尋の闇』が絶賛され、以後、現在と過去の謎を巧みに織りまぜ、心に響く愛と裏切りの物語を次々と世に問うベストセラー作家に
加地美知子[カジミチコ]
1929年神戸市生まれ。同志社女子専門学校英語学科卒
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
54
国王や大物政治家を巻き込んだ一大スキャンダルになる裏帳簿。そうと聞けば、その裏帳簿を何とか手に入れようと暗躍する者たちがいる。こういったあやしげな会社にまつわる政治的陰謀というのは、いつの時代にもあり、いつになってもなくならない。スパンドレルのヨーロッパを縦断する冒険は、社会の裏側をみる冒険でもあったのだ。2021/12/19
こみっく
1
今から300年前のヨーロッパ。地図製作を生業とするスパンドレルは南海泡沫事件にまつわる陰謀と殺人事件に巻き込まれる。さらにイギリスの王位継承をめぐる争いも加わり、美貌の未亡人に利用され翻弄され続ける。主人公がただ流されていくだけなのが歯がゆかった。いつの時代も人間の欲望には限りがなく、歴史は繰り返される。2019/04/04
UK
1
スパンドレルくんのダメ男振りはホント徹底してますね。 まさに波間に漂う木っ端のごとく流れに身を委ねるだけ。 これはこれで楽しめるのだけど。 とにかく面白かったデビュー作「千尋の闇」から、ずっと安定しているとは言えこのパターンは若干飽きたかも。 2013/08/29
エリコ
0
スパンドレルくんが権力者たちに翻弄され、どんどん泥沼にはまっていくので読み応えがありました。2013/05/30
hakodadi
0
狡猾な策謀家ですこぶるの絶世美女とそれに翻弄される不器用で小心な(しかし、物語が進む中で徐々に逞しく変身)主人公というプロットは先に読んだ「千尋の闇」に共通。善良な男と悪女(美女)の組あわせはやっぱり小説世界・永遠のテーマなのかも。 それにしても、最後の場面がポルトガル領のマデイラ島というのは、著者のこだわりのなせるところか。マデイラワイン渇望。2013/04/14