講談社文芸文庫<br> 絵空ごと;百鬼の会

講談社文芸文庫
絵空ごと;百鬼の会

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  • サイズ 文庫判/ページ数 284p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784061961333
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

一風変った或る男が、同じ酒場の定連客らと語らって、自分ら好みで理想のサロンをもちたいと、遂には、18世紀英国風の至れり尽せりの洋館を作る仕儀となる。芳醇な酒と程よい会話と。時の流れは静かに開かれてゆく。虚実皮膜の間に夢かの如くに現れる“至福の体験”の喜びを絶妙な文体で綴った長篇『絵空ごと』。短篇『百鬼の会』。奔放にして優雅、独特の想像力漲る吉田健一の真髄2篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うた

4
絵空ごととは上手い題をつけたものです。吉田さんの本は日本酒と肴をまじえながら、とろりとろりと読んでいくと良い心地になります。ニセモノをみながらも、はっきりと白黒つけずに水(または酒)に流しているところがいい。2011/11/03

ポン・ザ・フラグメント

3
滅びるものを黄金色の残照のなかにとどめるためだけに時間を無限に引き延ばすことができるかどうか。酩酊のなかに永遠の一瞬を見つけ出しても、それって錯覚かもしれないじゃない。ああ、錯覚でもいいのかな。ふとチャールズ・ストロスの「アッチェレランド」とグレッグ・イーガンの「順列都市」を思い出した。しかし、ぼくは著者が本物ではないとする側にむしろ愛着を感じてしまうな。やっぱりね、「人間」は「何かしている」のが正しいと思う、たとえそれがどんな卑しい執着だとしても。2014/06/07

kentaro mori

2
テーマは「真贋」。それは、「絵画」の、「日本」の、「東京」の、、、⚫️「或るものがあってそれではないものを本もののそれだと言えばこれが贋ものであることになるのだけれど仮にもしその贋ものがそれだけのものとしての用に堪えるならば、もしそういうことがあればそれを贋ものと呼ぶことはなくなるのじゃないか。例えば今の法隆寺の塔は贋ものって言えば贋ものでしょう。併しもう百年もたって時代が付いて、そうですね、あの柿が赤くなる頃ね、その時に見て如何にも法隆寺の塔に見えればそれでいいんじゃないですかね。(続)2019/04/30

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