内容説明
源頼潮による木曽追討の軍勢が派遣され、都を追われた義仲は寿永3年1月、琵琶湖畔で討死する。佐々木・梶原の宇治川先陣争い、義仲をかばって最後まで敢闘した今井四郎兼平の壮絶な自害が語られる。この間、九州を離れた平家は瀬戸内の合戦で勝利し、勢力を挽回して一の谷に城郭を構え、都の奪還を図ったが、範頼の大手の攻勢と、義経の奇襲で敗北を喫し、忠度、敦盛らが討たれ、重衡は捕虜となって、平家一門は屋島に退却した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
55
寿永3年年明けの哀れを催す風雅な描写から一転して、義仲の最期、一谷の合戦、重衡生捕り、敦盛の最期と、『平家物語』の中でも有名なシーンが続く読みどころ満載の巻。義仲と敦盛の最期はどこまでも男らしく、それが哀れを誘う。義仲と義兄弟今井四郎の絆の深さと、重衡を見捨てた乳母子の薄情さ。平家と源氏は、こういった主従の繋がりのめんでも大きな差がある。2017/09/20
O. M.
3
本書で目に付いたのは、まず、木曽義仲の最後にあたって忠臣今井四郎が壮絶な自害をする描写。劇画的です。続いて、一の谷合戦が長く語られますが、ここでは激しい戦闘の一方で、武将たちがふとみせる一族への愛情のエピソードが印象に残りました。本書の最後では、一の谷で討死した夫平道盛の後を追って身を投げる小宰相身投の話が語られ、涙を誘います。2017/03/31
猫森
2
メモ:生けずき、する墨。教経(能登殿)の馬はうす墨。2024/10/31
ターさん
1
圧巻の巻第九。二騎となった木曾義仲と今井四郎兼平。義仲が「鎧が、今日は重うな(ッ)たるぞや」兼平「御身もいまだつかれさせ給わず。御馬もよわり候はず。(中略)兼平一人候とも、余の武者千騎とおぼしめせ」死を覚悟した〈主従のふかい信頼と愛情〉兼平の最期は〈強烈な感銘〉を受ける。義仲寺には、義仲の墓の隣に芭蕉の墓もあった。兼平の墓も訪ねたいものだ。する墨といけずきの先陣争い。源氏軍団の夥しい武人達の列挙、〈一族やその先祖の(中略)名誉とする作品への働きかけ〉があったという。追い詰められる平家、次々と討死してゆく。2025/03/02