出版社内容情報
【内容紹介】
心を苦しめ、思慮分別に悩んで始めて本当の智恵が現われるものであり、安らかに生活している時は、思慮の力が埋れてしまっている。このことは丁度、苦いものは薬になり、甘いものは毒となるようなものである。婦女子を訓戒するには、まず恕即ち思いやりのことばを先にかけ、次に厳格なことばで結ぶようにするがよい。小人を訓戒するには、まず厳格なことばでぴりっとさせ、次に思いやりのことばをかけてやるがよい。(本文より)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kawai Hideki
81
幕末の大儒学者・佐藤一斎の名言録もこれにて読了。80歳〜82歳までに執筆された「言志耋録(てつろく)」を収める。「一息でもある限り、学業をやめるべきでない」という言葉から始まり、いよいよその集大成となる巻だけあって、言葉も磨きに磨かれており、鮮やかな対句を含む鋭い警句で心をとらえる表現がたくさんあった。ビジネスに携わる人間としては、「敬やや弛めば、則ち経営心起こる。経営心起これば、則ち名利心これに従う。敬は弛むべからざるなり」の語に身の引き締まる思いがした。敬とはつつしむ心、経営心とはたくらむ心。2014/07/21
かわうそ
33
「196 凡そ剛強の者与みし易く、柔軟の者怕る可し。質素の者は永存し、華飾の者は剥落す。人の物と皆然り。」 〔訳文〕 「凡そ強く剛い人は仲間に入れ易いが、柔かな人はかえって恐るべき者である。また、飾り気なく地味なものは永く保たれるが、華やかに飾り立てたものは箔がはげ易い。品物についても人間についても皆この通りである。」物腰柔らかい人というのは逆に警戒すべきです。また、華やかな者はすぐにでも汚れ、価値がなくなるのまた真理です。2022/10/14
金吾
15
○著者が老境で書いているだけあり、老人の心得のように将来に向け参考できる部分が多くありました。志は不朽にあるべし はなかなか実行出来ませんが、そうなれるように励みになる言葉だと思いました。2022/01/26
monotony
4
儒学者、佐藤一斎の語録(4/4)。11.無能の知と無知の能、14.学問を始める時の心得、15.有字の書から無字の書へ、25.持念の工夫は甚だ難し、119.感応の理七則その四、142.志操は利刃の如し、182.有りてなき者は人なり、215.毀誉四則その三、217.未見の心友、日見の疎交、239.本物は!、277.教育の根本、328.一生の計。言志四緑も最終巻。集大成とも言うべきか。やはり心に響いてくる言葉の数は前3巻よりも多い気がしている。2013/07/28
Holy Boon
4
座右の書。 幕末の倒幕のエネルギーとなった思想である陽明学における江戸の代表的思想家の名著。 坂本龍馬・西郷隆盛・桂小五郎・勝海舟・吉田松陰などに多大な影響を与える。 順境にある時、逆境にある時、事を為そうと志す時、優しく、時には厳しく、魂を奮い立たせてくれる本。 この本で人生観変わりました。何十回読み返したか数え切れません。それでもまた紐解きたくなる作品。 日本人に生まれて良かったと再認識させてくれる本でもあります。 全4巻。