内容説明
太平洋戦争も終末を迎える頃、一人のスパイが処刑された。その名はゾルゲ。戦後、明らかにされたその謀報活動と正確無比な報告は、世界中を震憾させた。二十世紀最大のスパイとして、歴史に名を刻むゾルゲの生涯を覆っていたものは、その複雑な生い立ちと、共産主義という理想、そしてソビエトの現実であった―。常に国家の狭間で翻弄され、苦悩し続け、一生涯、愛しむべきものを手にすることを許されなかった孤独な一人の男。その内面を通して描いた、もう一つの太平洋戦争の真実。
目次
第1章 スパイ・ゾルゲの誕生
第2章 日本情報を送れ
第3章 日本の対ソ戦略を探れ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kitakita
3
的確な情報は当時、重要視されることもなかったのに、現在は英雄として扱われているというのが、何とも不憫ですね。 しかし、御前会議の内容がソビエトに筒抜けだったのなら、英米にも筒抜けだったのでは…?日本は破滅の道を突き進んだように感じます。2015/08/16
日の光と暁の藍
2
ゾルゲについて初めて学ぶという人に、この本はピッタリな本だと思う。生い立ちから処刑による死までの彼の一生をこの一冊で手軽に学べる。一章では、ゾルゲの恋人カーチャとゾルゲがやり取りした手紙の内容、ゾルゲの生い立ち、ゾルゲの上海での諜報活動等について触れられている。二章からは、ゾルゲが本格的にスパイとしていかなる諜報活動を日本国内でしてきたかが、国際政治の緊迫化と軌を一にして述べられている。ゾルゲについて興味があり、ゾルゲとゾルゲの行ったスパイ行為について知りたいと思う人にこの本を是非お勧めしたい。2014/02/16
sodium hydride
2
「ゾルゲ」という名前だけは知っていたが、詳しいことは知らずに今日まで生きてきた。*ロシア人の父とドイツ人の母、カーチャとのなれそめなどが最初に書かれているからか、ゾルゲ氏に感情移入しながら読んだ。*石井花子さんのキャラが明るくてよかった。2012/03/19
shiaruvy
0
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