出版社内容情報
漁に出たまま不在がちの父と病がちな母を持つジョバンニは、暮らしを支えるため、学校が終わると働きに出ていた。そんな彼にカムパネルラだけが優しかった。ある夜二人は、銀河鉄道に乗り幻想の旅に出た――。漁に出たまま不在がちの父と病がちな母を持つジョバンニは、暮らしを支えるため、学校が終わると働きに出ていた。そんな彼にカムパネルラだけが優しかった。ある夜二人は、銀河鉄道に乗り幻想の旅に出た――。
宮沢 賢治[ミヤザワ ケンジ]
著・文・その他
内容説明
―永久の未完成これ完成である―。自らの言葉を体現するかのように、賢治の死の直前まで変化発展しつづけた、最大にして最高の傑作「銀河鉄道の夜」。そして、いのちを持つものすべての胸に響く名作「よだかの星」のほか、「ひかりの素足」「双子の星」「貝の火」などの代表作を収める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
183
ジョバンニとカムパネルラ。 銀河を望遠鏡で見ると星がたくさんある。 銀河ステーションから列車が出る。 最後に、もとの丘の草の中につかれてねむっていたジョバンニ。 未完ということなので分かりにくいのは仕方ない。2013/05/02
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
158
解説にある「過透明なかなしみ」という表現が本当にぴったり。すべての言葉がどこまでも透き通り、美しい青や緑や赤い光が心の中に染みてくる。あまりにも美しいものはどこかかなしい予感を含んでいて、でもかなしいけれど本当に美しいのでその気持ちがすうっと浄化されていく。 銀河鉄道の夜、おきなぐさ、十力の金剛石の世界がきらきらと美しくて、いつまでも漂っていたくてとても好き。 一番印象的だったのは貝の火かな。善行を行いお礼をもらったのにそのお礼の品に試され理不尽な罰を受けてしまう子兎のホモイにお父さんがかける言葉が凄い。2018/07/08
扉のこちら側
118
2016年538冊め。『銀河鉄道の夜』はこれまで何度も読んでいるが、何度読んでも自分の行く途を察してしまっているカムパネルラに切なさが募る。文庫全体として、仏教でもありキリスト教的な雰囲気もある賢治独特の宗教的雰囲気を感じる編になっている。そして植物と星の描写の美しさが際立つ。2016/07/10
mocha
111
覗きメガネで 宮沢賢治の宇宙を眺めているよう。見えるのはほんの断片でしかないけれど、とても美しく絵画的。この本に収められているのは「星」や「宝石」「天国」がモチーフになったものが多くて、とても神秘的だった。『貝の火』『四又の百合』『ひかりの素足』『十力の金剛石』は初読。宗教や死生観が強く感じられる作品群。現代とは違う言葉遣いに、多分当時まだ耳新しい外来語、造語、エスペラント語までもが混じる。その自由で独特の文体が、とても幻想的で魅了された。2016/06/30
りゅう☆
105
幻想的で綺麗な描写、子供の頃ならもっと想像力を掻き立てられ楽しかったかも。大人になった今、宮沢賢治の生み出す世界をスクリーンに照らし出して朗読してもらいたいなんて思ったりして。ジョバンニがカムパネルラと銀河鉄道に乗って宇宙を旅する『銀河鉄道の夜』はあまりにも有名なのにストーリー知らず。旅の中で様々な人たちと出会い、別れ、不思議な現象に遭遇したり。これがどんな旅なのか薄ら感づいてたもののラストは切なかった。美しき悲しき兄弟愛『ひかりの素足』、悲哀な運命を背負いまっすぐ空に昇っていった『よだかの星』が印象的。2016/09/10