出版社内容情報
ユング派の分析を深めるにあたって、日本人の著者が、いかに仏教の力を意識するようになったのか。帰国後の臨床経験、牧牛図、禅や華厳の世界など・・・・・。心理学との関わりで著者が仏教について初めて本格的にかたった書。
内容説明
世界トップクラスのユング心理学者を招いて行われるフェイ・レクチャーに日本人として初めて招聘された著者の、好評を博した講演。ユング派の分析を深めるにあたって、日本人である著者がいかに仏教の力を意識するようになったか、自らの個人的経験をまじえて語る。著者が心理療法と仏教との関わりについて初めて本格的に論じた書。「現代人と宗教―無宗教としての宗教」を併録。
目次
ユング心理学と仏教(ユングか仏教か;牧牛図と錬金術;「私」とは何か;心理療法における個人的・非個人的関係;フェイ・レクチャー紀行―日本の読者のために)
現代人と宗教―無宗教としての宗教
著者等紹介
河合隼雄[カワイハヤオ]
1928年兵庫県生まれ。京都大学理学部卒業。1962年よりユング研究所に留学、ユング派分析家の資格取得。京都大学教授、国際日本文化研究センター所長、文化庁長官を歴任。2007年7月逝去
河合俊雄[カワイトシオ]
1957年奈良県生まれ。京都大学教育学研究科博士課程修了。ユング派分析家資格取得。京都大学こころの未来研究センター教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Vakira
51
自分という観念。普通は「我思う、故に我あり」だが、この本の衝撃。「我、他人の夢に登場す、故に我あり」「我」は自分が思うだけではありません。他人の夢にも登場してしまう。逆に言えば我とは自分の意思以外に他人の夢にも登場してこそ「我」となる。無意識の我の広がり。無意識の我は他人の夢だけではなくて自分を取巻く宇宙に存在しているのかも知れない。自分とは?をより深く考察すると個人ということではなく、生きとし生ける物全が関連しているのかもしれない。僕にとって衝撃であり、大収穫の考え方。河合先生ありがとうございます。2021/08/22
ばんだねいっぺい
26
やっぱり面白いなぁと思ったし、また、時をおいて読み返すだろうなぁとも思った。万物斉同というか、身近なふれあいの中にそれを見いだす契機が転がっていると認識した。2022/04/18
加納恭史
24
河合隼雄著「心理学入門」からとても興味を引かれ、彼の東洋的なユング分析を検討し、仏教との関わりを中心とし世界観を見る。二十年以前に読んだユング理解の再検討となる。当時はユングの良き解説書も少なく難解であった。彼のマンダラ好みにはうんざりしたが、今回は理解が進むかな。仏教の普遍意識の解明はなかなか見事だな。禅との関わりで、十牛図の解説から始まるので、自我と自己(セルフ)の発見と悟りの境地を頓悟と段階論と玉虫色の全体像の解説は見事だな。まあ十枚の図以外にも六、七枚の牧牛図も多い。現代女性による牧牛図もある。2024/03/14
呼戯人
23
再読。何の気なしに手に取ったら、読むことが止めらなくなって、午後の時間全部を使って、読みました。前回読んだ時より、理解が深まったとかより細部の主張に気が配れたとかということもなく、ただひたすら午後の時間をこの本を読むことに費やした。自我とか自己とか心を統合する概念を飛び越えて、仏教的なスーパーシステムのような中心なき調和をもたらす全自然と心の繋がりが実感できた。華厳教や大乗起信論などの仏教哲学の深さに感じ入った。井筒俊彦の仏教哲学の本も読もうと思った。2022/11/11
ぺったらぺたら子
20
著者の自伝的な思考の変遷を通して、西洋の「分ける=解る」の感覚と、日本の統合的なあいまいさの中から全体を受け取る感覚との違いや、避けていてもあらかじめ備わっていた仏教の感覚が語られる。そして日本から抜け出したこと、ユングとの出会いなどを通して自分の中の日本を再発見していくところなどが描かれている。講演なので非常に読みやすく楽しい。とくに十牛図が面白く、タロットの「愚者の旅」にも似ていると感じた。これまで読んだ中でもベストの一冊。読んでみて!2024/10/15
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