出版社内容情報
昭和一四年,ほぼ時を同じくして三人の兵士が上官に兵役拒否を申し出た.彼らが所属するキリスト教集団灯台社は,以後苛酷な弾圧にさらされる.兵役を拒否し,信仰を貫くという行為に直面して,戦争への道を疾走しはじめていた軍隊や国家は,どのような本質を露呈したか.関係者の証言や新資料により,抵抗者たちの生き方を描く.
内容説明
昭和14年、ほぼ時を同じくして3人の兵士が上官に兵役拒否を申し出た。彼らが所属するキリスト教集団灯台社は、以後苛酷な弾圧にさらされる。兵役を拒否し、信仰を貫くという行為に直面して、戦争への道を疾走しはじめていた軍隊や国家は、どのような本質を露呈したか。関係者の証言や新資料により、抵抗者たちの生き方を描く。
目次
1 明石順三と灯台社
2 灯台社の思想と最初の受難
3 村本一生と明石真人の軍隊内兵役拒否
4 特高の弾圧と灯台社の抵抗
5 非転向者・転向者の明暗
6 つらぬかれた非戦の立場
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
16
キリスト教と大日本帝国憲法の関係。信教の自由と憲法。現代の特定秘密保護法案のような雰囲気が35頁辺りに書いてある。歴史は繰り返されるのかなぁ。クリスチャンは、共産主義者と同様の勇気をもって抗っていったのだろう(56頁)。明石順三氏の長男真人は、キリスト者としての教えを遵守すべく、兵役拒否(81頁)。憲兵も彼を殺すまでには至らず、懲役三年とのこと(86頁)。村本一生も懲役二年の(98頁)。やはり殺されてはいない。キリスト教は戦時下に強かったのか。非力きわまりない個人が、国家という巨大権力に対抗(170頁)。2013/10/26
しょむ研(水野松太朗)†選挙マニア!?
8
戦前日本で良心的兵役拒否をして投獄されたエホバの証人信者の話。反戦を理由に弾圧されたキリスト者(異端含む)が彼くらいだったというのが何とも。尚、明石氏は星条旗に忠誠を誓ったアメリカのエホバ本部に抗議して除名され、後に棄教してます。2016/04/16
こひた
1
5人対一億という自己表現は英雄的すぎるきらいがあるが、灯台社全体への弾圧を見ると、信仰に生きるタイプの人が戦争にどう向き合ったかというのはどの国でも関心を集めるテーマだし、日本におけるエホバの活動が一枚岩じゃない複雑な経緯であったというのも初耳だった。2017/01/27
Hiro
0
生まれるずっと前のこととは言え、戦争中に当時の人々がどのように生きていたかは常に関心事である。特に兵士となった人の体験談は聞くだけで恐ろしく、徴兵制のない現代に生まれた身をただただ有難く思うばかりだ。本書はその義務を当時のあの全体主義の統制下で堂々と拒んだ人たちの話で、とても興味深く夢中で読んだ。自己の信念に忠実に生きることの困難と偉大さは容易に理解できるものではないが、このような人々がいたことの意味は非常に大きいし、様々な事例をできるだけ多く知っておくだけでも将来の力になると思う。2020/03/01
m
0
このような方々の存在を消してはいけないと思います。