出版社内容情報
ルーアンの新聞に「日曜語録」として連載されたのを皮切りに,総計5000に上るアランのプロポ(哲学断章).「哲学を文学に,文学を哲学に」変えようとするこの独特の文章は,「フランス散文の傑作」と評価されている.幸福に関する93のプロポを収めた本書は,日本でも早くから親しまれてきたもの.折にふれゆっくりと味わいたい.
内容説明
ルーアンの新聞に「日曜語録」として連載されたのを皮切りに、総計5000に上るアランの「プロポ」(哲学断章)。「哲学を文学に、文学を哲学に」変えようとするこの独特の文章は「フランス散文の傑作」と評される。幸福に関する93のプロポを収めた本書は、日本でも早くから親しまれてきたもの。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
141
各3ページのプロポ93章がエッセイ感覚で書かれ、リーダビリティが高い。人間は元来何もしないと苦悩ばかり拡大しがちなので、後先・自身のことを考え過ぎず、思考から情念を解放せよと著者。悲観主義は容易だが楽観主義は意志と自己克服が必要、突き詰め方は鋭くて陳腐にならない。心と身体の繋がりに着眼し、逆説的に構えてみる視座転換は現代人こそ重要。本人もいうようにどん底向けというより、日々の厄介と退屈に悩む人の血行を良くするための書。幸福は行動にも思考にも付随するとは思うが、バランス矯正ツールとしてもクラッシックな内容。2023/03/02
ちびbookworm
114
★3.5-4.【出口治明の紹介本】◆『間違った臆断をとり除きたまえ。そうすれば君の不幸はなおる』(エピクテトス)◆(自分を含めた)人間、この気分屋にどう対処すべきか?恐怖、不安、いらだち。これら「情念」が誤ったイメージを心につくらせ、その幻影に惑わされるのが、私たちの常だ。これら、「情念の説得力」を断ち切れ。ではどうすべきか?アランの処方箋はこうだ◆リラックスせよ。暖炉であくびをする犬をマネよ。体操(運動)、音楽(演奏)、微笑みをつくり、上機嫌を演じよ◆これら、些細なことこそ、幸福への一歩だ。2022/02/12
マエダ
107
アランは読者に考えを強いることをしていない。93の短編に分かれていてどこからでも読め、一つ一つにストーリーがあり読みやすい。誰もが使っているありきたりな言葉でここまで心に響くことが書けるのがアランの持ち味であり、著者の高貴さや賢明さが伝わり読者をうつ。2016/03/25
molysk
83
悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである。気分というのは、いつも悪いものなのだ。だから、幸福とはすべて、意志と自己克服によるものである。幸福になろうと欲しなければ、絶対幸福になれない。自分の幸福をつくり出さねばならない。本書は、日曜日の新聞に連載されたアランの「プロポ」(哲学断章)のうち、幸福に関する93編を収めたもの。フランスらしい陽気さがあふれる。悪いことがあった?不平不満を言っても何にもならない。雨の降る時こそ、晴れ渡った顔付きをしたいものだ。だから、天気の悪い時にはいい顔を。2024/01/01
ナマアタタカイカタタタキキ
83
腰を据えた人生論というよりエッセイに近く、どちらかというと実用的。直前に読んだのがショーペンハウアーだったので、正反対のオプティミスティックな内容(といってもただただ気楽なものではなく、やはり鋭い)だからか、より新鮮な気持ちで読めた。それでも両者には共通項も少なからずあり、両方を通して人生とどう向き合うべきか少し見えたような気がする。話の結論だけを見ると量産された自己啓発本のそれと変わらないが、それについて突き詰めて考えた人から出る言葉はこうも違う。万一胡散臭いと感じたならば、繰り返し反芻してみてほしい。2021/08/27