内容説明
18世紀パリの新風俗となったサロン展。その批評活動に立脚して書かれた『絵画論』関連の4篇を収録。模倣に自然哲学と芸術の接点を見出し、趣味を論じて美の判定の根拠を問う。デッサン・色彩・明暗法・構成等を論じ、シャルダンらの仕事を踏破する、独創的な美学論考。
目次
絵画論(デッサンに関するわたしの奇想;色彩に関する愚考;わたしが生まれてこのかた明暗法について理解したことのすべて;表情に関して誰もが知っていること、誰もが知っているわけではないこと;構成に関する章、構成について話そうと思っている章;建築に関するわたしの意見;全体に関する小さな補論)
付 明暗法の検討
一七六五年のサロン序文
ソフィー・ヴォランへの書翰(一七六二年九月二日)
マニエールについて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
絹恵
39
美しさの感じ方は十人十色、千差万別だけれど、自身の感覚器官で何をどのように選り分けているのか把握していくことは難しいと思います。だからこそ、無意識が作り出す感覚の境界線が、時に芸術と呼ばれるものを生み、また或る時にその感覚が自身を苦しめます。特別なものを特別にするのではなく、日常を特別に変える力が芸術なのだと感じました。2015/04/13
ゆとにー
8
訳者が『美学への招待』など書いている佐々木健一だったので読んでみたけど、受け取り方がよくわからなかったのは背景を知らないからなのか。よき趣味と判定されるかマニエールに陥っていると判定されるかのあわいは論じている本人もうまく言語化することが難しそうであった。2022/04/04
有沢翔治@文芸同人誌配布中
7
どのような絵画・建築が優れているのだろうか。既存の作品を模倣するのではなく、自然そのものを模倣することが優れているとディドロは考えた。当時の美術アカデミーでは医学・解剖学と強く結びついており、生体模型を使って講義が行なわれていた。しかしディドロはこれを否定する。http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51520960.html2021/10/06
うた
4
うーん、これ面白いかな?18世紀という時代柄なのかもしれないけれど、エセーというより主張するためのパンフレットを読んでいるようだった。2020/10/19
ラウリスタ~
4
ディドロを専門にしている先輩が多いのでどんな人なのかと読んでみました。ふぅん、へぇ、そうなの、って感じです。岩波文庫ってどういう基準で翻訳する本を選んでいるんですかね?2010/06/29