内容説明
……とにかく、原稿はでき上がった。でき上がってみると、やはり意に満たぬ点が多い。したがってこんなもの書くのではなかったと、今更悔恨の情なくもないが、終戦後約八年余も何かと国政に関与し来った責任もあり、またその大部分の歳月が「占領下」という、わが国の歴史において特殊な事情の下にあった関係もあるので、この書が、いくらかでも世の参考になりはせぬかという気持ちにもなり、意を決して、出版を承諾した次第である。(本書序文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とさり
3
いつの頃からか昭和史を深く知りたい衝動にかられ、半藤一利、保阪正康を始めとする昭和史研究者の著作を片っ端から読んできた。いずれの書も緻密な取材と自らの経験に裏付けられた良書であったが、あくまで伝聞情報である。その点において、吉田茂自身が昭和天皇やマッカーサーらとのやりとりを通して、歴史上の事実の背景を一人称で語る本書の説得力は、他を圧倒する。敗戦直後の混乱期に、総理大臣として日本を率いた吉田茂の胆力と慧眼に改めて深い感銘を受ける一冊である。2022/10/07
晩助バンスケ
0
終戦記念日を迎えて、学校で教えてもらえなかった昭和史を紐解こうと、終戦協定、新憲法時代の吉田茂の書をとった。ちょうどマッカーサー元帥の特別番組も放送され、終戦時のGHQの役目など、アメリカ側の見方もわかり良い機会に読んだと思った。感想の一番は、勉強になった、読んでよかった。最近も話題になった憲法改正、皇室典範、安保と自衛隊増強の関係など、吉田茂の考えは今の社会、政治に繋がっていることがよくわかった。おすすめの一冊にしたい。 2023/08/27