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和書北斎のデザイン - 冨嶽三十六景から北斎漫画までデザイン視点で読み解く

表題にある「デザイン」という単語を、も…

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表題にある「デザイン」という単語を、もちろん北斎が知っていたはずはない。江戸時代の日本語まで遡及する余裕もないので、漢字表現に置き換えてみた。『北斎の構図』になる。北斎らしく座りがよくなった。
　今年の２月に長野県の小布施町で見た北斎の晩年の業績については、帰宅後に『知られざる北斎』（神山典士、幻冬舎、コメント参照）で再学習したが、本書では、北斎が使った作画技法について、より詳しく学ぶことができた。
　簡単にいうと、円と直線を使う幾何学的な透視図法である。○を描くのには「ぶんまわし」（小学生も使う文房具のコンパス）という道具を使っていて、美の極致である完全な円で全体の配置を決めていたようだ。拙い知識の直観で、レオナルドが残した絵図を思い出した。
　もしかしたら、19世紀末にジャポニスムに熱狂したフランス人や英国人も、北斎にルネサンスの様式を垣間見たのかもしれない。部分的に〈乱れ〉や〈舞〉があっても、全体の雰囲気は常に安定的である。
　色彩で言えば、やはり「青」だ。北斎が使った藍色は、実は、18世紀におそらくオランダ人の商人から輸入されたものなので、ヨーロッパ人にしてみれば、馴染みのある青が、異国の絵師経由で里帰りしたような印象だったのかもしれない。英語のblueの含蓄は「高貴」で、例えば、blue-bloodedは宇宙生物の血ではなく、「貴族とか名門の」という意味になる。特に英国で『神奈川沖浪裏』が高く評価されているのは、この色使いによるところも大きいような気がする。
　これを契機に、「浮世絵の青」を調べてみるのも、大人の自由研究としておもしろいかもしれない。

タグ北斎、構図、ジャポニスム

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