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和書ジオコスモスの変容 - デカルトからライプニッツまでの地球論ｂｉｂｌｉｏｔｈｅｃａ　ｈｅｒｍｅｔｉｃａ叢書

先日読んだ『ルネサンス・バロックのブッ…

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先日読んだ『ルネサンス・バロックのブックガイド—印刷革命から魔術・錬金術までの知のコスモス』（ヒロ・ヒライ監修、工作舎）で紹介されていた一冊。（コメント参照）
　副題に「デカルトからライプニッツまでの」とあるが、哲学書ではない。今までの教科書や解説書が取り上げてこなかった思想家たちの地球を見る眼差しを、書き残された作品の内容を手掛かりに、見事に解き明かした知的な啓蒙書である。
　中表紙に印刷された図版は、B級ホラー映画のポスターのような雰囲気だが、読み進めると「サメの頭部」だと分かる。ニコラウス・ステノの業績を解説した章でも一頁の大きさで掲載されている。
　この17世紀の地球科学者は、本書では冒頭から巻末まで随所で引用されており、本書の隠れた主役は、このデンマーク生まれの科学者だということが分かる。
　ところが、表題にはその名がなく、帯に小さく「ステノを案内人に」とあるだけだ。おそらく、著名なデカルトとライプニッツで読者の目を惹こうとした編集上の細工の結果だと推測する。
　ステノの『プロドロムス』は東海大学出版部から邦訳が出ているが、現在は入手困難な状況だ。英語版は、英訳ではなく解説書があるので、これを読もうと思っている。地質や動物の解剖といった、隠された部分を暴き出そうとした姿勢は魅惑的だ。
　同じような視点がライプニッツにもあったことが分かったのは、大きな収穫だった。この哲学者は鉱山事業をとおし「地下世界」に魅せられ、地球論である『プロトガイア』という研究書をまとめていた。岩波文庫で『モナドロジー』（コメント参照）を読んだ際に、悪戦苦闘したが、その前に、この大著を読んでおくべきだったのだ。これも日本語では手に入りそうにもないので、英訳版を「ほしいものリスト」に入れておいた。
　本書は、学説的には時代遅れであるという理由で注目されてこなかった17世紀の科学思想を、多くの図版、参考文献を併記し、紹介している。「ヘルメスの図書館」と名付けられた叢書の一冊。

タグヘルメスの図書館、地球論

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