出版社内容情報
17世紀ヨーロッパの科学革命を生きた知識人は地球をどう考えていたのか。地球惑星科学の起源に肉迫する。近代科学の創始者であるガリレオやニュートンが活躍した17世紀。天動説と地動説をめぐって論争が繰り広げられ、世界と歴史の理解が大きく変わったこの科学革命の時代に、知識人たちは化石、鉱物、火山活動、気象といったものから、地球がどのようなものだと考えていたのか。デンマーク人ステノを案内人に、「ジオ・コスモス」(大地の世界)観の変容を読み解く。
bibliotheca hermetica叢書の発刊によせて(ヒロ・ヒライ)
プロローグ──科学革命の時代の地球観
1 地球をめぐる学問
2 従来の研究と本書のアプローチ
3 ステノの生涯
第一章 ルネサンスのジオコスモス
1 ジオコスモスはどのように描かれたか
2 アグリコラの鉱山学と地球論
3 自然誌、鉱物誌、そして博物館
4 コスモグラフィアとゲオグラフィア
第二章 デカルトと機械論的な地球像
1 デカルトの地球論
2 デカルトの地球論の背景と問題
3 ガッサンディの地球論
4 ステノにおけるデカルトとガッサンディ
第三章 キルヒャーの磁気と地下の世界
1 キルヒャーのイタリア体験─碩学が生まれるまで
2 地球論としての『マグネス』
3 『マグネス』から『地下世界』へ
4 ジオコスモスをめぐるキルヒャーとステノ
第四章 ウァレニウスの新しい地理学
1 ウァレニウスの生涯と著作
2 ウァレニウスの『一般地理学』
3 新科学の影響とデカルト批判
4 ウァレニウスとステノ
第五章 フックの地球観と地震論
1 フックの地球論とその背景─鉱物コレクション
2 『ミクログラフィア』と地球論
3 フックの地震論──一六六八年の論説を中心に
4 フックとステノ─自然誌と地球の年代学
第六章 ステノによる地球像とその背景
1 『温泉について』
2 『サメの頭部の解剖』
3 『プロドロムス』
4 ジオコスモスの変容と新しい地球論の意味
第七章 スピノザとステノ──聖書の歴史と地球の歴史
1 聖書解釈の問題
2 スピノザとステノの邂逅
3 『プロドロムス』と『神学・政治論』
4 聖書と地球についての歴史学
第八章 ライプニッツと地球の起源
1 ライプニッツの地下世界への関心
2 『プロトガイア』と原始地球
3 ステノからライプニッツへ──両者の交流の背景
4 歴史の総合を企てるライプニッツ
エピローグ
あとがき
初出一覧
図版一覧
文献一覧
人名索引
山田 俊弘[ヤマダ トシヒロ]
山田俊弘(東京大学大学院研究員)
ヒロ・ヒライ[ヒロ ヒライ]
ヒロ・ヒライ 1999年より学術ウェブ・サイト bibliotheca hermetica(略称BH)を主宰。同年にフランスのリール第三大学にて博士号(哲学・科学史)取得。Early Science and Medicine誌編集補佐。共著書に『ミクロコスモス:初期近代精神史研究』(月曜社、2010年)や『知のミクロコスモス:中世・ルネサンスのインテレクチュアル・ヒストリー』(中央公論新社、2014年)。勁草書房においてBH叢書を監修。2012年に第九回日本学術振興会賞受賞。
内容説明
17世紀ヨーロッパの科学革命を生きた知識人たち。彼らによって世界とその歴史の理解が大変革をとげるデンマーク人ステノを案内人に、この壮大な旅路を「ジオ・コスモス」観の変容として読みとき地球惑星科学の起源に肉迫する!
目次
プロローグ―科学革命の時代の地球観
第1章 ルネサンスのジオコスモス
第2章 デカルトと機械論的な地球像
第3章 キルヒャーの磁気と地下の世界
第4章 ウァレニウスの新しい地理学
第5章 フックの地球観と地震論
第6章 ステノによる地球像とその背景
第7章 スピノザとステノ―聖書の歴史と地球の歴史
第8章 ライプニッツと地球の起源
著者等紹介
山田俊弘[ヤマダトシヒロ]
科学史・科学教育。1955年千葉県生まれ。1980年に京都大学理学部卒業後、高等学校教員。2004年に東京大学大学院総合文化研究科にて博士号(学術)を取得。現在、東京大学大学院教育学研究科研究員。2007年に、ライプニッツについての英文論文で日本科学史学会論文賞受賞
ヒロ・ヒライ[ヒロヒライ]
ルネサンス思想史。Early Science and Medicine誌編集補佐。1999年より学術ウェブ・サイトbibliotheca hermetica(略称BH)を主宰。同年にフランスのリール第三大学にて博士号(哲学・科学史)取得。欧米各国の研究機関における研究員を歴任。現在、オランダ・ナイメーヘン大学研究員。2012年に第九回日本学術振興会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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砂糖 翠