紀伊國屋書店出版部11月の新刊『道徳性の起源―ボノボが教えてくれること』
霊長類研究の第一人者はボノボから何を学んだのか――
道徳性は上(神)から押し付けられたものでも、人間の理性から導かれた原理に由来するものでもなく、進化の過程で下(動物が営む社会生活の必然)から生じた。それを独自に進化させたからこそ、人間はここまで到達し得たのだ。
《進化理論》と《霊長類と人間の連続性》を軸に、バランス良く鋭い持論を展開する著者の手つきはベテランのなせる業――広汎な知見を駆使し、豊富な動物たちのエピソードとともにウィットに富んだ文章で綴られる本書は、ポピュラーサイエンスの読者を満足させるだけでなく、道徳性をめぐる人文科学方面の議論にも一石を投じます。
義務教育における道徳の教科化が進むなか、「道徳性とは何か」「それはなぜ生じ、いかに発達したか」という根源的な問題に立ち返って考えるヒントを与えてくれる一冊です。