2016年03月14日

2015年に生誕140年、没後60年を迎えたノーベル賞作家の日記全10巻、いよいよ完結!

 株式会社紀伊國屋書店(代表取締役会長兼社長 高井昌史)はこのたび、『トーマス・マン日記 1918-1921』(森川俊夫・伊藤暢章・洲崎恵三・前田良三 訳、定価17,000円+税、46判並製・848頁・函入り、2016年3月10日刊行)を刊行いたしました。これをもって1985年より刊行を続けてまいりました『トーマス・マン日記』の邦訳、全10巻が完結となります。マンの死後20年経った1975年に初めて公にされた膨大な量の日記を、編集者の手を加えずにそのままの形で公刊したものに詳細な注が付された本シリーズは、原書刊行時には「この日記以外に何ひとつ書かなかったと仮定しても、トーマス・マンがその時代の最も重要な作家のひとりであるだろうことは疑いを容れない」と評されたドイツ文学研究に必備の資料であるとともに、激動の時代を証言した、ヨーロッパ精神史の貴重なドキュメントでもあります。

 マンは生前、幾たびか自らの「古い日記」を焼却炉で焼いており、残されたのは1933年から1955年までの日記(既刊の9巻に所収)と、1918年から1921年までの日記のみ。今回刊行した最終巻には、おそらくは『ファウストゥス博士』執筆のために取りのけられ、奇跡的に「後世のために救われた」、第一次世界大戦期の貴重な四年間の記録を完全収録しました。この最終巻について編者は、「作品と人生とがこの危機の時期にどれほど緊密に一体であるかは、この日記巻で、胸を締めつけられると同時に解放されるようなありかたで明らかとなる」と記しています。

 大江健三郎さん、池内紀さんからも推薦をいただきました。