紀伊國屋書店出版部2月の新刊『暴力の解剖学――神経犯罪学への招待』
暴力的性格の基盤は脳にあるのか?
はたしてそれは遺伝するのか?
世間の逆風に耐えながら、30年以上にわたり犯罪の生物学的基盤を研究し、〈神経犯罪学〉を確立した著者は、脳の損傷や遺伝などの生物学的要因と、生育環境などの社会的要因が相互作用することによって、暴力が発生すると主張します。
優生学の失敗以後、この手の研究はタブー視されてきました。しかし神経科学や分子生物学の発展に伴ってデータの精度が向上し、その研究成果はもはや看過できなくなりつつあります。
ただ、人権、倫理、法など多くの問題をはらむため、今なお右派からも左派からも疎まれる要素を抱えています。
殺人発生率の低い日本ではありますが、奇しくも衝撃的な事件の報道も続いています。
今後、社会のセキュリティを議論する際に、大いに参照されるべき画期的な一冊です。