内容説明
公事宿の居候・菊太郎は同心組頭の弟・銕蔵に命じ、盗賊の頭・大沼の蔵六の似顔絵を高札場に貼らせる。一方、蔵六らは最後の盗みで出くわした火事場で、逃げ遅れた子供を助けようと火中に飛び込む――。義賊などおらぬと銕蔵を叱った菊太郎が非を認めた表題作をはじめ、人間の価値とは何かを鋭く問う六編を収録した人気時代小説シリーズ第八作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
onasu
16
シリーズものは、読み切るか、読み飽きるか、どちらかだと思っていたが、こちらでは折にふれて読むという新たな接し方を覚えた。 シリーズではあっても、一話だけつまみ読みしても違和感がない。古今変わらない人間の本性を筋建てに、当時の文化、風習をエッセンスに。それを妙な例えにすれば、菜や調理を少しずつ違えた、飽きのこない食事のよう。 そんな中には、また目にしたい:「神隠し」武蔵、ちょっと口に合わなかった:「末期の勘定」先代等など。 夢で少し語られた菊太郎の放浪話しも読んでみたい。後続の刊にあるのだろうか。2015/09/13
nemu
2
民事裁判で争うことがあれば鯉屋に頼みたい。もちろんそんなことがない人生にこしたことはないけど。2020/01/15
まゆ子
2
★★★★☆神隠しの話が好き。2014/09/27
kazu@十五夜読書会
2
ハードカバー読了済み(文庫もダブル登録で、共読本に反映させる)公事宿事件書留帳シリーズ8弾。① 闇の掟 ② 木戸の椿 ③ 拷問蔵 ④ 奈落のみず ⑤ 背中の髑髏 ⑥ ひとでなし ⑦ にたり地蔵 ⑧ 恵比寿町火事 ⑨悪い棺 ⑩ 釈迦の女 ⑪ 無頼の絵師 ⑫ 比丘尼茶碗 ⑬ 雨女 ⑭ 世間の辻 ⑮ 女衒の供養 ⑯ 千本雨傘 ⑰ 遠い椿 ⑱ 奇妙な賽銭 ⑲ 血は欲の色2012/11/06
NON-BAY
1
表題作の『恵比寿町火事』。「鬼平犯科帳」で、“悪いことを重ねてきたやつでも、善行のひとつもしてみたいとおもうもの”というニュアンスのせりふがありますが、なにやらせつなさを感じてしまいます。2015/03/10