ディスカヴァー携書<br> 人は感情によって進化した 人類を生き残らせた心の仕組み

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ディスカヴァー携書
人は感情によって進化した 人類を生き残らせた心の仕組み

  • ISBN:9784799310243

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内容説明

感情の萌芽にあたる仕組みは、地球上に哺乳類が現れたころにはすでに、人類の祖先に備わっていたことでしょう。
感情は、生きのびるのに必要な機能として、生物進化の歴史をとおして、徐々に積み上がってきたのです。
捕食者から逃げる「恐怖」は比較的早い段階で、人類の祖先の動物の身につきました。
そして、個体の上下関係を形成する「怒り」や「おびえ」は、群れを形成するようになった段階で身につきました。
人間として進化した段階では、協力集団が築かれ、それを維持する役割を担う「罪悪感」や「義理」などの、複雑な感情が進化しました。
本書ではさまざまな具体例をもとに、感情の働きを明らかにします。
そして、感情が私たちに備わった生物進化の歴史を考えます。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うりぼう

49
竹内久美子さんのわがままな遺伝子の戦略的自己複製作戦を思い出す。進化ということは、心理学でも同じということか。肯定感情が集団を結束させ、チベットモンキーの下位の雄は、子どもをダシに使う。同情が悲しみの共有であり「野生の心」なら「お金」は「文明の心」であり、2つの両立は、心の葛藤を産む。感情も遺伝情報とすると、新しくつくることは時間がかかるが、失うのは容易で、廃用症候群と同じ。文明化するほど野生の幸福感が希薄になり「文明のこころ」での幸福感の確立が求められる。多様な自己と多様な集団が輻輳し、緩やかに繋がる。2011/07/31

Lee Dragon

22
自己呈示が複雑な自己の簡素化であると言う話が面白かった。しかし、一貫性を持ちたいと言うところから何となく心にわだかまりが出来てしまうと言う事もよくわかる。この悩みは普遍的なものであると思うので、悩んでいる人にしてあげたい。 また、バタイユの過剰と蕩尽の話も面白い、人の幸福を関数で表すと微分した時に正である、つまり直前の過去との比較によって成り立つのだと思った。これは神経の抑制系の鈍化の話をマクロに拡張したものと同じである。当てつけかもしれないがマクロの視点とマクロな視点の対応が見つけられて面白かった。2019/08/05

ヨミナガラ

21
“このところ、うつ病の患者が増えていますが、人々が無力感を冷徹に認知するようになったためかもしれません。人々はふつう、自己の力を過大視することで、無力さを直視しないようにしています。第8章で議論した「希望」をいだくのです。ところが、うつ病の患者は、より正確に自己の力を評定できる傾向が知られています。正直者が病気になってしまうのであれば、社会は欺まんに満ちているということです。それは深刻な問題です。”“個人におうじた多様な幸福を引き受ける理想のコミュニティには、集団の多層性が必要だと思われます。”2014/06/22

haruka★

15
人間の感情はなぜこうも複雑に進化したのか。まず嫉妬は子孫を残すため。一夫一妻制は男女ともに実は利益があった。自己呈示欲求は集団への貢献を示すため。好奇心と勇気は危険だけど、数少ない成功者はモテて子孫を残せた。幸福感は衣食住を満たすため。衣食住に不足がない状態が続くと幸福感は意識にのぼらなくなり、やがて無力感が広がる。チンパンジーは人間と違って後悔も絶望もせず「今ここ」の世界を生きているらしい。仏教なんて教わらなくても彼らの方がよっぽど悟りに近い。悲観的でもなく単純に、もう人間には生まれ変わりたくないなぁ。2021/08/12

かりん

6
2:《狩猟採集生活にふさわしい感情で、現在を生きている。》積読本をざっと。そんな読み方のせいか、あまり残ったものがなかった。博愛の精神を持つのが難しいということと、長期的な食べすぎを抑制する遺伝情報が備わっていないということは、小ネタとしていただきました。2014/02/24

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