内容説明
『「性格が悪い」とはどういうことか』著者、待望の新作!
他人の目に縛られた時代を、どう生きるか?
SNSに広がる「冷笑」を、心理学で解剖する!
「ダサすぎて草」
「どうせ無駄」
「恥ずかしい」
「痛いw」
「意識高い系(笑)」
誰かの真剣な挑戦や本気の発言、何かを全力で楽しむ姿を、一歩引いた場所から冷ややかに笑う――。そんな「冷笑」「冷笑系」と呼ばれる態度が、いまのインターネットに広がっています。
厄介なのは、こうした言葉を見続けるうちに、自分が何かを始めようとしたときにも「どうせ」「痛い」という声が頭の中で流れるようになることです。そして、挑戦する前に自分でブレーキをかけてしまう。
本書は、この「冷笑」の仕組みを心理学から解き明かします。
ひとくちに冷笑といっても、その中身は同じではありません。
心の中で起きていることを整理すると、冷笑はいくつかのパターンに分けられ、それぞれ心理学的な背景も異なります。
そんな冷笑の多重構造を、ひとつずつひもといていきます。
著者は、早稲田大学教授でパーソナリティ心理学者の小塩真司氏。長年、人の性格を研究してきました。なかでも、ナルシシズム、マキャベリアニズム、サイコパシーといった「ダークな性格特性」を扱った『「性格が悪い」とはどういうことか』は大きな話題を呼びました。
一生懸命な人、挑戦する人、何かを全力で楽しんでいる人を、斜に構えて安全圏から茶化す。そんな空気に囲まれ、新しいことに踏み出す自由が奪われがちな今だからこそ読みたい一冊。
冷笑の仕組みを知り、その空気から少し自由になるためのヒントが詰まっています。
■目次
はじめに
第一章 冷笑とは何か?
「冷笑」の使われ方
日常語として広がった冷笑/いまや、身近なホットワードに
冷笑とは何ではないかを考える
冷笑と似て非なるもの(①批判や懐疑的な態度/②怒り/③ユーモアや皮肉/④あきらめや無力感/⑤シニシズム)
冷笑とは、こういうものである
冷笑は一種類ではない/「熱量」の違い/誰かを叩いているのか・自分を守っているのか/みんなで笑っているのか・ひとりで引いているのか/三つの違いが重なるところ
冷笑には形がある
第二章 冷笑を支える三つの軸
なぜ三つに分けるのか(ジングル誤謬)/三つのレイヤーの連動
第一軸:感情の温度(ホットかクールか)
「感情の強さ」だけでは説明できない(ラッセルの円環モデル)/「冷たい」は感情がないという意味ではない(ホットシステムとクールシステム)/感情を出すか、抑え込むかの違い(感情制御のプロセスモデル)/軽蔑に他の感情が混ざるかどうかの違い(二種類の軽蔑)
第二軸:動機・目的(防衛か攻撃か)
自分を守るのか高めるのか(テッサーの自己評価維持モデル)/防衛する中で起きていること(防衛的悲観主義・セルフ・ハンディキャッピング・自己確証動機)/攻撃する場所で起きていること(下方比較・自己本位脅威モデル・道徳不活性化)/防衛と攻撃の連続性(モラル・ライセンシング・公正世界信念・システム正当化理論)
第三軸:立ち位置(集団か個人か)
集団から見るのか・個人として見るのか/「うちの集団」というだけで味方になる(社会的アイデンティティ理論)/「集団の中の自分」か「集団から離れた自分」か(自己カテゴリー化理論)/何も成し遂げなくても得られる有能感(仮想的有能感)/原因をどこに求めるかの歪み(基本的帰属錯誤・敵意的帰属バイアス)
三軸の関係性
三軸は独立しているのか/直感に反する組み合わせ/冷笑がスパイラル状に強まっていく仕組み(三軸の循環)/冷笑しないポイント
第三章 八つの冷笑パターン:集団の立ち位置から
類型に分ける意味
クール×集団の冷笑
①現状追認型の冷笑(クール×集団×防衛)
背景にある心理学的な働き(学習性無力感・燃え尽き症候群・防衛的悲観主義)
②管理ツール型の冷笑(クール×集団×攻撃)
冷笑を道具として使う/背景にある心理学的な働き(マキャベリアニズム・システム正当化理論・基本的帰属錯誤)
ホット×集団の冷笑
③被害者意識型の冷笑(ホット×集団×防衛)
背景にある心理学的な働き(脆弱型ナルシシズム・CAD仮説)
④逸脱者制裁型の冷笑(ホット×集団×攻撃)
背景にある心理学的な働き(日常的サディズム・シャーデンフロイデ・脱人間化)
第四章 八つの冷笑パターン:個人の立ち位置から
クール×個人の冷笑
⑤効力感欠如型の冷笑(クール×個人×防衛)
背景にある心理学的な働き(自己効力感と結果期待・慢性的孤独感・回避型愛着スタイル)
⑥動機還元型の冷笑(クール×個人×攻撃)
背景にある心理学的な働き(マキャベリアニズム・敵意的帰属バイアス・認知的完結欲求)
ホット×個人の冷笑
⑦優越皮肉型の冷笑(ホット×個人×防衛)
背景にある心理学的な働き(仮想的有能感・脆弱型ナルシシズム・偽りの独自性効果)
⑧享楽型の冷笑(ホット×個人×攻撃)
背景にある心理学的な働き(スパイト・悪性の妬み・後知恵バイアス)
八つの冷笑を見て
自覚の濃淡/自己防衛から自己高揚へという自己評価
第五章 冷笑から離れた場所
中央は冷笑しない場所か
冷笑というもう一つの世界
門の内側への原動力
どこに落ち着いていくのか/人が集まると立方体が現れる
自己評価にとらわれる社会から
成熟に向けて
補章 冷笑を自己診断してみよう



