ちくま新書<br> 心はこうして敵と味方をつくりだす ――分断と争いの社会心理学

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ちくま新書
心はこうして敵と味方をつくりだす ――分断と争いの社会心理学

  • 著者名:縄田健悟【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 筑摩書房(2026/10発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480077684

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内容説明

人はなぜ「我々」と「ヤツら」に分かれるのか?

隣の部署、外国人、富裕層、エリート、若手とベテラン、右派と左派、男と女――人はつい「我々」と「ヤツら」に線を引き、その「敵」を容赦なく叩いてしまう。なぜ人は、ときに集団の一員として敵への攻撃に駆り立てられるのか。異なる価値観をもつ人々と共に生きるには、「敵を作りがち」な私たち自身の心のクセを知っておく必要がある。職場での摩擦や民族対立、SNS炎上、陰謀論など。身近なギスギスから社会の深刻な分断まで、その背後にある集団心理のメカニズムを読み解く。

===
【目次】
はじめに――「我々」と「ヤツら」に線を引く心

第一章 「我々」として敵と争う――社会的アイデンティティ
1 「私」から「我々」へと切り替わる
2 紛争状況――我々のために戦おうとするとき
3 優越感――「我々こそ上だ」と思うとき
第一章のポイント

第二章 仲間が見ているから暴走する――賞賛獲得と拒否回避
1 褒められるために攻撃する――仲間内の英雄になりたい
2 嫌われないために攻撃する――仲間はずれになりたくない
第二章のポイント

第三章 「我々」はなぜ都合のよい世界しか見えないのか――内集団中心バイアス
1 同じ情報でも「ウチ」と「ソト」では違って見える
2 バイアスの原因は「結論ありき」で考えるから
3 バイアスにブレーキをかけるには
第三章のポイント

第四章 なぜ左と右はわかりあえないのか――イデオロギーと政治
1 政治イデオロギーはいかにして暴力と結びつくか
2 右派的価値観はよそ者に厳しくなりやすい
3 左派集団 vs. 右派集団――党派間対立
4 インターネットで強まる政治的分断
第四章のポイント

第五章 「よそ者」はいかにして「敵」となるのか――脅威・被害・報復
1 ヤツらの何がどう怖いのか?――脅威
2 やられたから復讐する――被害と報復
3 我々は被害者だ――被害感
第五章のポイント

第六章 闇の勢力が我々を狙っている――陰謀論
1 陰謀論を個人ではなく集団心理から読み解く
2 陰謀論で生じる二つの集団目標
3 陰謀論にどう向き合うか
第六章のポイント

第七章 「やっつけろ」が当たり前の世界で起こること――暴力的な規範・文化
1 規範は集団のアクセルにもブレーキにもなる
2 暴力や偏見を後押しする規範
3 文化に根づいた暴力的規範
4 規範を反転させるためには――ヘイトから反ヘイトへ
第七章のポイント

おわりに――敵をつくる心を知ったその先に
注
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目次

はじめに――「我々」と「ヤツら」に線を引く心/ウチとソトで見え方が大違い/ウチとソトを分ける集団心理――社会心理学の視点から/「ヤツらを叩け」という心のクセ/ウチとソトは合わせ鏡/立ち止まって考えるために/コラム 用語説明/第一章 「我々」として敵と争う――社会的アイデンティティ/1 「私」から「我々」へと切り替わる/「我々意識」のスイッチがオンになる/集団の一員として自分を捉える/我々意識が攻撃に向かう二つの条件/2 紛争状況――我々のために戦おうとするとき/「我々」として怒る/具体例――個人の犯罪が「外国の脅威」に見えるとき/「我々」と自分が一つに重なる/国と自分が融合した人は国のために命をかける/外からの脅威が暴力と平和の分かれ目/3 優越感――「我々こそ上だ」と思うとき/「好き」と「優越感」を区別する/傷つきやすい特権意識/「わが国は偉大だ」というレトリックの危うさ/アイデンティティはなくすものではなく飼いならすもの/第一章のポイント/第二章 仲間が見ているから暴走する――賞賛獲得と拒否回避/1 褒められるために攻撃する――仲間内の英雄になりたい/前提――敵と戦う戦士は賞賛されやすい/賞賛を求めて攻撃する――英雄型集団暴力/暴力を良しとする規範があるかどうかが鍵/2 嫌われないために攻撃する――仲間はずれになりたくない/「非国民」だと思われたくない/本心ではない差別の表明/中国では「日本が好き」とは言えない?/みんなが叩くから自分も叩く/ここでも規範が鍵となる/二つの集団モードを整理する/第二章のポイント/第三章 「我々」はなぜ都合のよい世界しか見えないのか――内集団中心バイアス/1 同じ情報でも「ウチ」と「ソト」では違って見える/死刑は正しいに決まっている vs. 死刑は間違いに決まっている/自己中心的ならぬ内集団中心的/さまざまな内集団中心バイアス――民族紛争、党派性から労使対立まで/2 バイアスの原因は「結論ありき」で考えるから/先にある「望ましい結論」へと向かっていく/かしこいだけじゃダメですか?/かしこさが自分の立場を守るために使われる/偏見は「やっぱりそうだ」と「あれは例外」で残り続ける/3 バイアスにブレーキをかけるには/①「どちら側の主張か」をいったん切り離す――方向づけ目標を弱める/②「これは正確か」を問いただす――正確性目標へと切り替える/第三章のポイント/第四章 なぜ左と右はわかりあえないのか――イデオロギーと政治/1 政治イデオロギーはいかにして暴力と結びつくか/政治イデオロギーの基本軸――左派・右派とは何か/イデオロギーが生み出す敵意と攻撃性/2 右派的価値観はよそ者に厳しくなりやすい/右派と左派で善悪の基準がズレている/忠誠・権威・神聖さを大事にする保守主義者/国旗を踏んではいけないと思うのはなぜか?/内集団を守る道徳がもたらす排他性/「差別はダメ」はなぜ届きにくいのか?/3 左派集団 vs. 右派集団――党派間対立/イデオロギーと自分を同一視する/左派も右派も自分の党派をひいきする/なぜ党派的バイアスが生じるのか?/党派的バイアスは日常生活にまで広がる/嫌う強さは似ていても、嫌う対象は違う/「極左」と「極右」はよく似ている/4 インターネットで強まる政治的分断/広く開かれたネットに生まれる、狭く閉じた空間/道徳的怒りはネットで伝染する/「分断を過大評価しすぎない」ことも大事/人は偏る。それでも科学は偏りを減らすことができる/第四章のポイント/第五章 「よそ者」はいかにして「敵」となるのか――脅威・被害・報復/1 ヤツらの何がどう怖いのか?――脅威/外集団は「怖い」とすぐに反応/外集団の何を「怖い」と感じるか/「怖い」ほど攻撃的になる/アイデンティティが強い人ほど脅威を感じやすい/優位な立場だからこそ「奪われる」ことに反発する/煽られる脅威/相手が自分たちを嫌っているから「怖い」/2 やられたから復讐する――被害と報復/我々がやられて、ヤツらに仕返しする/どこでも見られる代理報復/集団間代理報復はなぜ起こるのか?/3 我々は被害者だ――被害感/我々は不当な被害者だ/被害感が敵意と結びつく/加害者と被害者の見え方の違い/被害者だから攻撃してよい――攻撃の正当化/被害者同士で苦しみを分かち合う/第五章のポイント/第六章 闇の勢力が我々を狙っている――陰謀論/1 陰謀論を個人ではなく集団心理から読み解く/陰謀論にハマるのは個人の問題か?/集団間紛争としての陰謀論/2 陰謀論で生じる二つの集団目標/陰謀論が居場所を作り出す/「我々は優れている」と感じたい/我々が不遇なのはヤツらのせいだ/危険な「敵」が見えてくる/過激な意見を持ちやすくなる/「戦わねば」が暴力のハードルを下げる/陰謀論は世界を見る枠組みになる/3 陰謀論にどう向き合うか/①予防――染まる前に「免疫」を作る/②相手を尊重した対話――信頼できる相手からの言葉/第六章のポイント/第七章 「やっつけろ」が当たり前の世界で起こること――暴力的な規範・文化/1 規範は集団のアクセルにもブレーキにもなる/2 暴力や偏見を後押しする規範/偏見は規範に縛られる/差別と攻撃が伝染する/ネット上でも「ヘイトがヘイトを呼ぶ」/3 文化に根づいた暴力的規範/「なめるなよ」文化が暴力を生む/名誉の文化が紛争に結びつく/「戦うのが当然」という空気も生まれる/政治家の言葉が「お墨付き」を与える/4 規範を反転させるためには――ヘイトから反ヘイトへ/①まずは目の前の差別を止める。それが規範を作る/②長期的に「それが普通だ」という空気を育てる/③「正確であること」を規範にする/第七章のポイント/おわりに――敵をつくる心を知ったその先に/注

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

artgrape

2
「自分一人が何かやっても社会は変わらない」と思っている人に、これを読むことを勧める。社会は突然良い方向に変わったりしないが、一人一人一人が「事実に基づいた正確性を重視」したり「差別を許さなかった」りすることで社会の雰囲気が作られ(人はどのように振る舞うべきなのかの基準が作られ)社会が変わる。一人一人の役割は大きい。襟を正す。2026/10/26

O次郎

2
なぜ私たちが異なる政治思想やバックグラウンドを持つ人々を「敵」として認識してしまうかを非常にわかりやすく解説している。シュミットの友敵理論は少なくとも心理学の面から政治を捉えたら正解なのかも…と思ってしまう。しかし、本書では相手の思想や意見を正確に知り、自分の意見の正当性に常に疑問を持つことで外集団への敵意を下げることも書いており、とかく様々な情報に触れて、自分で考えながらもそれだけだとバイアスを強化するので色々な立場の人の話を聞き、異なる立場の人と対話することが大切なのだろう。いやあなかなか難しい…2026/10/25

Toku

2
SNSユーザーは必読の本かもしれない。自分の敵意や攻撃的な感情・言動について、実は個人由来のものではなく、所属している集団や規範によって助長されていることを解説している。図式もあり、優しい言葉で説明されており非常に分かりやすい。2026/10/18

HOTARU

0
集団になると、仲間意識や優越感、周囲からの圧力によって、自分たちを正しいと考え、他者を敵視しやすくなる。称賛を求める心理や仲間外れを恐れる心理が攻撃を促し、同調によって敵意が集団に広がることもある。こうした心理の危うさを理解し、相手の視点から考え、自分たちの正しさを問い直すことが、争いを抑え共生を目指すうえで重要である。2026/10/24

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