内容説明
ストレスに満ちた現代社会で増える謎の病に迫る
〈心身症〉というわかりにくい病態に悩まされる患者、
およびその周辺で混乱する人々の実態を、
英国の神経科医が丹念に描き出した傑作ノンフィクション。
【心身症とは】心のストレスや葛藤が、痛みや麻痺など現実の身体症状として表れる病態。
医学的検査の数値が正常で、症状の原因を特定することが困難なケースが多い。
オリヴァー・サックスの後継者として英国各紙誌に絶賛された著者デビュー作
ウェルカム・ブック・プライズ、英国王立生物学会図書賞受賞、18か国で刊行
【著者】スザンヌ・オサリバン(Suzanne O’Sullivan)
アイルランド出身の神経科医。ダブリン大学トリニティ・カレッジで医学を修め、現在はロンドンの国立神経・脳神経科病院に臨床神経生理学・神経学の医療コンサルタントとして勤める。てんかんを専門とし、心因性疾患を研究。2015年に刊行したデビュー作の本書で、ウェルカム・ブック・プライズと英国王立生物学会図書賞を受賞。3作目の『眠りつづける少女たち』(紀伊國屋書店)は、2021年の王立協会科学図書賞の最終候補作に選ばれた。
【訳者】高橋洋(たかはし・ひろし)
翻訳家。訳書に、オサリバン『眠りつづける少女たち』、バレット『情動はこうしてつくられる』、ドイジ『脳はいかに治癒をもたらすか』、ハイト『社会はなぜ左と右にわかれるのか』(以上、紀伊國屋書店)、ルドゥー『存在の四次元』(みすず書房)、オコナー『悲嘆の脳科学』(青土社)、ダマシオ『進化の意外な順序』、ブルーム『反共感論』(以上、白揚社)、クラーク『経験する機械』(筑摩書房)ほか多数。
目次
第1章 涙──脳神経科医、心身症に出会う
初めての患者/内面の苦悩よりも身体の障害を選ぶ人びと/用語の解説
第2章 ポーリン──精神的苦痛を身体で表現しつづける読書家
映像記録と脳波/「でっちあげだとでも?」/診断されることの効果
第3章 マシュー──障害への偏見にとらわれたネット世代
診断の肝/説得することの困難/ヒステリーはいかに説明されてきたか
第4章 シャヒナ──指が開かなくなった法律家志望の学生
拒絶を緩和するには/シャルコーの功績/否認よりも怒りを
第5章 イヴォンヌ──作為症患者の影
潜在意識的な性質/心身症に向けられる負の烙印/他人の注意を引くため?/詐病
者/「回復しなければ、私は単なる役立たずにすぎません」
第6章 アリス──乳がんの痛みに悩まされる医師
なぜ他でもなく、この症状なのか/フロイトとブロイアーの理論/心身二元論から
の脱却/母と同じ経験/症状の発現を左右するもの/翻弄される人びと
第7章 レイチェル──活力をうばわれたダンサー
慢性疲労症候群/診断というレッテルの効果/心気症と過剰診断の弊害
第8章 カミラ──知的で繊細、仕事も成功した女性が封印した記憶
発症しやすい人の特徴/女性のほうがなりやすい?/病がもたらす利益/回復する
のはどんな人か/最初の発作を思い出す
第9章 笑い──社会に、私たちに何ができるのか
心身症を治す方法
謝辞
訳者あとがき
索引



