内容説明
「こんなひとりごとにはどんな意味があるのだろう?」
トルストイをして「生命、知恵、教訓、慰安」にみちた「最上の書物のひとつ」と言わしめ、ペソアをはじめ後年の作家たちにも深い影響を与えた『アミエルの日記』。日本でも戦前から広範な読者を得ていたことがよく知られている。凡庸な哲学教師の日記は、なぜこれほどの共感を呼びえたのか。その精髄を贈る。
ベルリン滞在時にはシェリングの教えを受け、ジュネーヴ大学で哲学を講じたアミエルは、詩や評論の著作はあったものの生前に名声を獲得することはなかった。彼の名が注目されるようになったのはその死後、ノート174冊、16900ページにおよぶ日記の抜粋が、女友達の尽力で刊行されたことによる。近代的自意識の詳細な記録ともいうべきその筆致は、思索のための日記だったのか、はたまた日記のための思索だったのか――内省の実践の最果てへとわれわれをいざなう。解説=小倉孝誠「日記文学の極北」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
7
アミエルを初めて読んだ。ベルリン滞在時にシェリングの教えを受け、ジュネーヴ大学で哲学を講じたという。彼には詩や評論の著作はあったものの生前に名声を獲得することはなかった。彼の名が注目されるようになったのはその死後、ノート174冊、16,900ページにおよぶ日記の抜粋が女友達の尽力で刊行されたことによる。2026/09/15
ERIN
7
本書はフランスの哲学教授、アミエルの日記を訳者が取捨選択した選文集である。テーマによる章立てとタイトルを添えて再編集されているため、かなり読みやすい。誰にも見せないはずの日記でこんな文章すっごいな、というのが最初の感想だ。膨大な思索の軌跡がうかがえる。アミエルと私自身が深く共鳴するのは、最初の章の「自分について」だ。実験と観察対象としての自分、自己省察は私にとってもおそらく生涯続く重要なテーマだろう。彼の内的観察によって綴られる言葉たちは共感とともに、また新たな自己の深淵へと誘う素晴らしいものだった。2026/08/11
アンパッサン
3
日記好きゆえ飛びついた。膨大なアミエルの日記から峻別された日々の思考。若きころは、花ふぶく騎士がごとく猛進してうたい、老いてはこわばりを覚え、嘆きつつ世を憂いてもまだ何事かあらんとすって感じ(とはいえ作者の寿命ゆえか、老いが早いわ)。女性観やフランスドイツ観の偏りは厳しいが、示唆に富んだ言葉も多々ござる。一文引く。——われわれを奴隷にするのは無秩序である。きょうの無秩序は、あすの自由をあらかじめ食いつぶしているのだ。私もずっと日記を書いているが、こうもこだわったことばでは書きこめていない。かくありたい。2026/08/30
mtht
3
読了。ジュネーヴの哲学教師・アミエルによるおよそ30代から60代に至るまでの日記。本書は訳者土井氏による抄訳である。内容は非常に内省的であるが、政治や教師とは何か?といったことなどの言及がある。書店で見かけて手に取った時、内容が面白かったので購入。頗る面白いことはなかった。2026/08/29




