内容説明
太平洋戦争に敗れて3年、吉岡努は、どんな女でも構わないという暗い欲望のままに森田ミツと出会い、甘い言葉を囁き騙し、そしてゴミ屑のように棄てた――。吉岡が小狡く社会を生き抜く一方、ミツの人生は転落の一途を辿る。だがミツはひたむきに吉岡を信じ、想い続け、自らが最大の試練に直面してもなお、澄みきった心で悲しみにくれる人に手を差し伸べる。究極の愛を描ききった不朽の名作。(解説・小川洋子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
nana
4
★★★★☆ ミツのひたむきな生き方が印象に残った。 何気ない選択や態度が、相手の人生に大きな影響を与えることを感じた。 人との関わり方について考えさせられた。2026/09/30
mushi
3
吉岡がミツに残した痕跡の話、ではなく、ミツが吉岡に残した痕跡の話だった。 罪深く愚かなわたしたち人間を、神は愛してくださる。一見みすぼらしく俗っぽく、取るに足らないような人間が、聖痕を宿し、最後まで無自覚かつ無邪気なまま美徳を実践することで、神の愛を再現する。彼女を十字架にかけた「わたし」たちを、神は赦し、愛してくださる。2026/10/12
ふくい
3
来たるべき断罪がスール山形の封書によってもたらされ、打ちのめされるような読後感を味わった。その断罪は男女の仲であれば誰しもが経験するものであるのだろうか?不義理だけでなく、人のもつ浅ましさをミツの純真さが否が応でも暴き出しているように感じた。だからこそ読者はいつの間にかあまた多くの「読者」から1人「吉岡」になり、「自分だけは違う」と逃れられずに打ちのめされるのではないかと。2026/10/04
いざよい
2
タイトルが気になって、ずっと読みたかった作品。 前半、吉岡のミツに対する侮蔑のような描写が、読んでてたまらなく嫌だった。そしてミツがそんな吉岡に夢中になる様子も理解できなかった。しかし、後半ミツが病気かもしれないとハンセン病院へ行く辺りから、この作品が描いている本質的なもの、読者への問いかけが明らかになっていき、引き込まれた。 神はどうして弱き物にこのような試練を与えるのか?どんな辛さにも大きな意味があるということ。本当の愛とは、可哀想な者たちの辛さに真に寄り添うこと。 ミツは聖女であった。2026/10/18
ま
0
10/10了。2026/10/10
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