中公新書<br> 身体の美学入門 感性から捉えなおす人間の本質

個数:1
紙書籍版価格
¥1,100
  • 電子書籍
  • Reader

中公新書
身体の美学入門 感性から捉えなおす人間の本質

  • 著者名:伊藤亜紗【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 中央公論新社(2026/06発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121029164

ファイル: /

内容説明

「目の綺麗な人だな」「あの人は怖そうだから」。
私たちは、人の見た目の違いを美で判断する生き物である。
顔つき、しゃべり方、匂い、肌の色、肥満・痩せ、障害。

本書では人の身体をめぐる美的判断を探究し、いかに美しさ・醜さが歴史的に創られてきたかの軌跡を追う。
そこから人が心に抱くエロス、愛の真価を突きとめる。
違いをうまく扱う知恵を手に入れ、ルッキズムや多様性の限界をこえる。
心に美をまとうための美学入門。


【目 次】
はじめに
違いについての学問  バラバラになる社会  身体を介して他者に出会う  本書の構成

第1章 美学、「私の中の他者」との出会い
下位の認識能力  眼を閉じ、耳をふさぐデカルト  ライプニッツによる認識の分類  識別できるが説明できない  日常は「渾然」「曖昧」だらけ  過去の経験と「傾き」  私の中の他者  より良く/善く感じるための学問  ソマティック・マーカー仮説将来のシナリオの評価  生物学的次元と社会的次元のからまりあい

第2章 感性、このやっかいであなどれないもの
無関心性(没関心性)  関心まみれの出会い  身体の評価=人物の評価?  サイズ、形、動き、色、匂い、服装  口笛でヴィヴァルディ   自分の身体にくつろげない  感性の保守性  鏡としての感性  法律の限界  権利ではなく魅力で  ふくらはぎに見惚れる  感性の逸脱  差別化と他者化  自然化される趣味

第3章 醜による他者化
科学と哲学  ルネサンスの豊満な女神  「人種」の創造  ホッテントット・ヴィーナス  見世物小屋=他者化の装置  プロテスタント的禁欲主義  「健康リスク」と「私らしさ」のあいだ歴史のレンズを通して見ている  醜とは何か

第4章 美による差別化
遅れてやってきた運動  彼らとは違う「私たち」  トニ・モリスン『青い眼がほしい』  醜さのマント  ディックとジェーン「二重のまなざし」に殺されないために  アフリコブラの輝き 象徴としてのアフロヘア  画面を埋め尽くす文字  黒人の美学日本語の「美学」のニュアンス

第5章 逸脱する感性
規範的感性と逸脱的感性  再認=既知への取り込み  知覚=未知の発見  個別性との出会い  知覚は自由に展開していく  対象に降伏(surrender)  慣習にあらがう能動性  見方が市民権を得るまで 山の「醜さ」  つるつるでゆがみのない球  天文学の衝撃無秩序で複雑で無限の世界  崇高さの発見  グランド・ツアー  日誌や手紙のライブ感  正義のプロセス/エロス的プロセス

第6章 エロスから愛への進化
きよしさんの指隠し撮影  「感染」の倫理性  スタイルとは何か  自然にはスタイルはない  表出ではなくパターン  選択なぜこのやり方なのか?  基準のゆらぎをうけとめる  愛への進化  アイデンティティ・ポリティクスを降りる

おわりに
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

82
伊藤亜紗の著作は、身体に関わるものが多く、いつも新鮮な視点を提示してくれます。著者の専門分野の美学に関しての新書ですが、感性という学問ではあまり扱われて来なかったものに対しての考察です。ジョン・デューイの言う知覚とは、再認とは異なり、わたしという主体性を超える部分で展開される人間の奥深さであると著者は言います。身体という肉体への関心が、その背後にあるものを理解しようとするとき、それは愛につながる道になるのですと。普段の見慣れた社会が少しだけ違って見えてくる、そんな本です。やっぱり伊藤亜紗の著作は良いです。2026/09/08

うえぽん

39
美学研究者が美学を通じた人間観を概説。人間の認識能力を絶対視し感性を無視したデカルトと異なり、それが何かが分かっても認識の根拠が言えない渾然(=感性)も認識の一部と捉えたライプニッツ。醜による外部化、美による差別化の章では、肥満嫌悪が女性や黒人のイメージと結びついて内面化されてきた経緯や、逆に黒人が身体の美醜を通じて主体性を取り戻そうとした歴史を知る。後半で知覚の自由な展開や逸脱が語られるが、AIの出現による人間の価値のダダ下がりを乗り越える方法が、うつろいやすく、曖昧な感性との主張には、首肯したくなる。2026/10/15

yutaro13

24
美学者による美学入門。知性を扱うのが論理学なら、感性を扱うのが美学。デカルトが認識を妨げるものとみなした感性が、ライプニッツやバウムガルテンを経て、学問の対象となってゆく。何を美しい、醜いと感じるかは、個人の好みだけでなく、歴史や社会の規範によっても形づくられる。ファットフォビアの歴史はそのことを考えるうえで示唆に富む。一方、既存の規範から逸脱する感性が、新たなものの見方を切り開くこともある。感性というとっつきにくいテーマを扱いながら、初学者にもわかりやすい文章で読ませる。著者の他の本にも興味が湧いた。2026/10/20

Ex libris 毒餃子

17
身体に対する美醜感覚が直観ではなく社会的・歴史的側面が強いことがわかりました。19世紀の白人から黒人への、現代でもある障害者へのまなざしを起因とする美醜感覚が大概偏見でありましょう。2026/08/17

msykst

17
主体的な意志ではどうしようもなく、何かに圧倒され、囚われ、見入ってしまうということ。合理性や効率性のような理性的観点からは説明がつかない「感性」は危ういものだけれども、この本では感性による「他者化」ではなく「差別化=主体化」の働きに光を当てる。「規範的感性/逸脱的感性」、あるいは「正義のプロセス/エロス的プロセス」といったような対比が明晰で、ちょっとびっくりするくらい読みやすかった。個人的には「ブラック・イズ・ビューティフル」についてちゃんと知れたのも良かった。2026/07/06

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/23369673
  • ご注意事項

最近チェックした商品