「死んだほうがいい」が問いかけるもの - 安楽死をめぐる言葉をたどる

個数:1
紙書籍版価格
¥2,970
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

「死んだほうがいい」が問いかけるもの - 安楽死をめぐる言葉をたどる

  • 著者名:渡邉琢【著】
  • 価格 ¥2,970(本体¥2,700)
  • 岩波書店(2026/05発売)
  • 澄みわたる秋空!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~11/8)
  • ポイント 810pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000617574

ファイル: /

内容説明

「こんな状態なら死にたい」「迷惑をかける人は死んだほうがいい」――難病等を理由に自ら死を望むことと,障害者や高齢者に他者が死を迫ることがともに「安楽死」という言葉で語られる.その背景には,何があるのか.死を望む人の根底にあるものをたどり,どんな状況にあろうと,誰もが肯定されながら生きるための言葉を探す.

目次

はじめに

Ⅰ 文学から「死にたい」を考える

1章 安楽死願望の背景をさぐる――橋田壽賀子,森歐外,そして近年の安楽死・自殺の生死をめぐるエッセイより
 「死の恐怖は死そのものより人を悩ます」
 『安楽死で死なせて下さい』――橋田壽賀子の安楽死観
 『高瀬舟』――森歐外の安楽死観
 「生か死か」に揺らぐ天秤はどちらに傾くか
 『境を越えてPart1このまま死ねるか!?』――岡部宏生さんの場合
 『私の夢はスイスで安楽死』――くらんけさんの場合
 『しにたい気持ちが消えるまで』――豆塚エリさんの場合
 死にぞこないの生の肯定

2章 介護文学と「死んだほうがいい」――『ロスト・ケア』,『恍惚の人』,『スクラップ・アンド・ビルド』,『介護入門』を通して
 『ロスト・ケア』――この社会には穴が空いている
 『恍惚の人』――老いは死よりずっと残酷だ
 『スクラップ・アンド・ビルド』――こうして孫をひっぱりまわすこの人は,生にしがみついている
 『介護入門』――《介護地獄》,おお,なんと哀れな貧しい言葉か!
 介護をめぐる文化の成熟のために

Ⅱ 近年の安楽死の議論をめぐって

3章 トラウマ,死の刻印,安楽死希求――障害者運動と安楽死を望む声の対立をめぐって
 なぜ生きる方向を支持すると非難されるのか
 「やっとこれで正当な理由で死ねると思ったんです」
 トラウマによる死の刻印とつながりの喪失
 トラウマと自殺企図の関連性
 安楽死希求の背景に思いを馳せる

4章 安楽死は自殺問題の解決なのか――障害者運動と安楽死を望む声の対立をめぐって(続)
 「安楽死を認めないということは,「私に自殺しろ」ということですか!」
 安楽死における「自殺仮説」
 自殺のハイリスクグループとの連続性
 自殺よりも安楽死が望まれる理由
 安楽死は自殺問題の解決となりうるか
 自己存在に対する脅迫と怯え,そして一条の光としての自殺願望
 浄化されないルサンチマン(怨念)

5章 「ALS嘱託殺人」と隠蔽されたもうひとつの事件
 「生命軽視」の犯罪か,「救済」か
 審理された三つの事件
 「精神障害を有する高齢者殺人事件」の経緯
 事件前後のやりとり
 大久保被告の生い立ち
 死に魅入られている感覚
 死にたい思いへの共鳴と有印公文書偽造事件
 ALS嘱託殺人事件が起きるまでの出来事
 事件現場と法廷での被告の涙
 判決文
 救いと殺人
 「生命軽視の姿勢」の根底

Ⅲ 安楽死の「野生化」

6章 相模原障害者殺傷事件における「安楽死」
 刑事裁判の概要
 女性棟での凶行と,女性入所者の被害の甚大さ
 男性棟における被害者の選別とむき出しの殺意
 凶行の形態と「安楽死の野生化」
 施設入所者たちの「声」
 施錠・なにもない部屋・処遇と家族の思いとのギャップ
 負傷者たちとそのご家族の思い,そして意思疎通について
 被告に抵抗した津久井やまゆり園の職員たち
 知人たちの制止と同調
 被告の犯行動機と政治性
 判決文における「了解可能性」や「病的な飛躍」について
 政治的な飛躍,あるいは暴力を可能にする世界観とその時代

終章 意志的な死と,そのあとにくるもの――自己決定による安楽死から本人の望まない死への過程
 「自己決定による安楽死」と「自己決定によらない安楽死」
 「延命労働」と「生命軽視」――大久保被告らの主張
 「生きるに値しない命」論における「二枚舌」――ナチスの安楽死思想の原典より
 「すべり坂現象」と「無益な治療論」の広がり――『安楽死が合法の国で起こっていること』より
 「抵抗と自尊の証」としての自死
 日本における「意志的な死」の伝統
 「なぜなら,われわれは死を最終的に選ぶことはできない」――三島由紀夫の場合

 初出一覧
 あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

楽駿@新潮部

24
品川図書館本。「死んだほうがいい」この言葉の裏に、どんな言葉や思いが隠されているのかを考える。誰でも、身体や心が苦しい時には、内心、そんな風に思ったりする。けれどそれは、今が辛いので、そこから逃げ出したいだけ。人は生きたい気持ちが優先して造られている。本当に死んだほうがいい時は、未来に対して完全に諦めた時ではないのか?自分の意志で安楽死を選ぶのなら、死ぬ権利がある、と思っていた。だが、安楽死は生き物の様に思いを超えて肥大化する。どこまでが自然死で、どこから安楽死や自殺になるのか、今、誰もが考える時かも。2026/09/19

にゃにゃころ

22
優生思考が蔓延る中、著者の言いたいことはよくわかる。安楽死制度ができて、他者には絶対強要しないといいつつ、「生産性のない人間はいらない」となるのを危惧するのもわかる。でも、全く同じ状況であっても「どんな苦痛の中でも生きたい人」と「もう楽にして欲しい人」がいる。耐え難い苦痛の中、小さな幸せを感じて生きててよかったと思える人もいれば、同じことを幸せと感じられず、とにかく苦痛から逃れたい人もいる。結局「逃れたい人」は自分が望んでいても認められない。生きてて欲しいという人は、この気持ちを理解しようとしてくれない→2026/07/16

山口透析鉄

22
市の図書館本。安楽死をめぐり、障害者問題に長く関わってきた著者の本、初読の方です。高瀬舟・恍惚の人といった有名な文学作品などから解きだし、いわゆるネガティブケイパビリティの話も出てきます。 自死に関する話題の記述も多く、安楽死と自死の違い、洋の東西での違いも出てきます。宗教では自死は罪とされていますので、そこはある種の日本の死生観(武士階級などがその代表でしょうか)とは異なるものもあるのでしょう。 植松死刑囚の言動と標的の選び方、ある意味、分かり易いです。事件の詳細も記述されていたのは(以下コメント欄) 2026/07/07

はじめさん

6
ネットの書評を見て手に取った。不治の病で、もうこれ以上苦しみたくないと絶望した人々が自らの尊厳をもって命を終わらせるためにスイスに飛ぶ。ドキュメンタリーなんかでもよく取り上げられ、安楽死と名前ついているけど、介助された自殺…。もちろん自身の固い意思と様々な手続きが必要で、死にたいと思ったから簡単にできるような仕組みにはなっていないけど。過去の文学作品で描かれたテーマや国内でのALS委託殺人や相模原障害者施設殺傷事件なども取り上げる。/ 死にたい相談に、とにかくなんでもいいから50冊読めと答えた北方謙三先生2026/09/23

takami

5
私自身は「尊厳死(終末期患者に過剰な医療を施さない)」には賛同していますが、「安楽死」に対しては保留中です。苦しまずに自分で自分の人生を終わらせられることには、凄く魅力を感じます。魅力的だからこそ怖いです。皆が流されて行くのでは? この本を読んで安楽死を「死にたい人は死ねばいいし、生きたい人は生きればいい」と乱雑な言葉で片付けて良い問題では無いということが良く分かりました。まずは個々人が自分の中に無自覚にある差別(自殺者に対する差別含む)を自覚してから、安楽死の議論を始めるべきなのではと思いました。2026/08/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/23343435
  • ご注意事項

最近チェックした商品