内容説明
戦争は、いつか終わる。
でも、はてしなく何かを奪い続ける。
あなたの隣で生きていたかもしれない彼女たちの
声なき声が聞こえますか?
都会に暮らす「わたし」の日常を大きく変えた、横浜空襲・大阪空襲を描く二篇
『世界の果てのこどもたち』『伝言』の著者による新たな挑戦!
「穴の中の戦争」
森さんちの裏に掘られた防空壕
恋もやっかみも悲しみも愚かさも、小さな社会がそこにあった
「愛子さん」
失われてしまった人生、きらきらしとったはずの人生――
真夏のある日、七十九歳の愛子さんは渋谷に向かう
いまと地続きの「戦争」を描く感動の二篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
65
「穴の中の戦争」は横浜が舞台。5軒の隣組の防空壕の中の小さな社会が国民学校2年生の美智子の視点で綴られる。戦争が終わってすべてが無かったことに…。「愛子さん」は大阪、空襲で両親を亡くし、両足にひどい火傷を負いケロイドに。その後の過酷な人生、80歳を目前にした愛子さんの決意ととんでもない行動。空襲がもたらした庶民の暮らしの破壊とその後の生活再建の困難さ。戦後補償の難しさなど考えさせられる1冊。2026/06/21
雪丸 風人
16
『穴の中の戦争』は、小学二年生の視点で防空壕でのやりとりを柱に描いた中編。どこにでもいる普通の人々を狂気に染める戦争の恐ろしさに慄きました。戦時中の国民生活がつまびらかで、戦時国債の隣組への割り当てや座布団の綿の供出など、興味深い話も少なからずありました。聞き分けのない妹のすべてを包み込むような姉の優しさは沁みましたね。表題作『愛子さん』は、筋書きを一言にするとまるで共感できないのに、彼女の過酷な人生が丁寧に描き込まれていることで、驚きのラストシーンにも納得感がありました。(対象年齢は13歳半以上かな?)2026/06/17
katsukatsu
16
横浜空襲を描いた「穴の中の戦争」と大阪空襲を描いた「愛子さん」の二編からなっています。「穴の中の戦争」は日常と戦争を巧みに描いています。「愛子さん」は何とも読んでいてつらい一編。戦争が人生のすべてを狂わせてしまいました。愛子さんの独白が響きます。横浜空襲の舞台となったのは、我が家からもそう遠くはない所。今から81年前には、こんな世界が身近に広がっていたことに、感慨深いものがありました。2026/06/03
toshi
5
表題作と「穴の中の戦争」の2作の中編。 両方とも戦争で傷ついた少女の物語。 どちらも考えさせらることが多く、読みごたえが有る作品だけど、二つ並べられてしまうとお腹一杯になってしまう。 両方の作品や、作者の他の戦争を描いた作品で同じネタを使いまわしているところも気になる。2026/06/22
kazu4
5
久し振りの中脇初枝さんの作品。 この作品を中脇さんに書かせたのは、今の世間の空気なのかもしれない。何とも言いようのない世界が描かれている。読んでいて、詩のようにも感じた。2026/06/21




