筑摩選書<br> 国民防空 ――日本的危機対応の失敗と教訓

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筑摩選書
国民防空 ――日本的危機対応の失敗と教訓

  • 著者名:吉川仁【著】
  • 価格 ¥2,244(本体¥2,040)
  • 筑摩書房(2026/06発売)
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  • ISBN:9784480018526

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内容説明

この国の落とし穴は
有事対応にある

「想定外」による失敗を繰り返さないために

第一次大戦後に来たるべき空襲に備え提唱され、軍・当局・国民が一丸になって進めた「国民防空」。関東大震災の経験を宣伝材料にして驚くほど急速に浸透したが、安易な想定や精神力依存、同調圧力による普及などの欠陥も多く、新技術を用いた米軍空襲には機能しなかった。この国民防空の組織や技術は、戦後の災害対策や国土計画・都市計画に引き継がれ現在に至っている。現代日本の危機対応の原点ともいえる国民防空の成立と普及過程を検証し、その教訓を未来へと伝える。

【目次より】
まえがき

第一章 関東大震災から動き出した「国民防空」
1 「国民防空」の内容と展開過程
2 関東大震災と軍の教訓
3 防空研究にみる関東大震災の影響

第二章 大阪市・東京市の非常変災要務規約と防空演習
1 大阪への震災影響と東京の動き
2 防空演習の実相
3 防空演習への批判

第三章 時間を要した防空法成立と審議過程
1 防空法成立前の経緯
2 帝国議会の審議
3 関東大震災等の影響

第四章 国民防空に関する技術の開発動向
1 軍の研究会と二つの火災実験
2 軍と学会等による研究体制
3 米国の空襲技術の開発

第五章 防空計画・指導要領と「都市の防空的構築」
1 防空計画と指導要領
2 「都市の防空的構築」の構想
3 専門家による防空の都市づくりに関する提案
4 函館大火と静岡大火

第六章 防空意識の涵養
1 国民防空に関する言説
2 『国民防空読本』と『時局防空必携』
3 『写真週報』にみる防空啓発
4 東京市・都の広報と関東大震災
5 様々な媒体による防空啓発

第七章 国民防空の手本になった「神田和泉町・佐久間町」
1 「神田和泉町・佐久間町」の事蹟
2 防空の模範として脚光を浴びる
3 国民防空の手本になる
4 戦後への影響

第八章 「国民防空」の浸透
1 防空訓練の思い出
2 防護団・警防団と燈火管制
3 町内会・隣組と「常会」
4 生活基盤になった町内会・隣組

終章 国民防空の「失敗」を繰り返さないために
1 都合よく使われた関東大震災
2 町内会・隣組を通じて浸透した「国民防空」
3 「国民防空」の目的――戦争継続のための国民統制
4 「思い込み」で進んだ国民防空
5 国民防空の失敗を繰り返さないために
6 これからの危機対応に向けて

おわりに

国民防空の展開 関連年表
参考資料

目次

はじめに/第一章 関東大震災から動き出した「国民防空」/1 「国民防空」の内容と展開過程/「国民防空」とは/「国民防空」の展開過程/2 関東大震災と軍の教訓/震災前の東京と震災被害/震災時の軍の活動/軍が得た課題と教訓/3 防空研究にみる関東大震災の影響/第二章 大阪市・東京市の非常変災要務規約と防空演習/1 大阪への震災影響と東京の動き/大阪への震災影響と非常変災要務規約の成立/東京の要務規約と防護団発足/各地の防護団の結成と活動/2 防空演習の実相/大阪・名古屋等の防空演習/「関東防空演習」/防空訓練の内容/町内会の防空演習・訓練/3 防空演習への批判/寺田寅彦の二つの随筆/桐生悠々の言説/この章のまとめ/第三章 時間を要した防空法成立と審議過程/1 防空法成立前の経緯/防空法制定に至る動き/内務省への主管変更/2 帝国議会の審議/防空法の成立と改正の経緯/議会審議のあらまし/3 関東大震災等の影響/第七十回帝国議会の意見/第七十七回帝国議会の意見/第八十三回帝国議会の意見/この章のまとめ/第四章 国民防空に関する技術開発/1 軍の研究会と二つの火災実験/東京警備司令部「防空研究会」/木造家屋の火災実験と焼夷弾の消火実験/2 軍と学会等による研究体制/東部防衛司令部「防空施設研究会」/土木学会「防空施設研究委員会」/日本建築学会「都市防空に関する調査委員会」/内務省計画局と防空研究所/軍による対日空襲判断の推移/3 米国の空襲技術の開発/昭和十七年四月十八日の空襲/M69焼夷弾の開発/重爆撃機B29の開発/この章のまとめ/第五章 防空計画・指導要領と「都市の防空的構築」/1 防空計画と指導要領/防空計画の「計画設定の要領」/各種指導要領の成立/2 「都市の防空的構築」の構想/「防空土木指導一般要領」/「国民防空読本」/「東京防空都市計画案大綱」/「東京緑地計画」と防空空地/3 専門家による防空の都市づくりに関する提案/東京市「都市防空パンフレット」/都市計画家による都市の防空ビジョン/4 函館大火と静岡大火/函館大火と復興/静岡大火と復興/この章のまとめ/第六章 防空意識の涵養/1 国民防空に関する言説/防空書の全体的傾向/防空書にみる「関東大震災」/2 『国民防空読本』と『時局防空必携』/『国民防空読本』/『時局防空必携』/3 『写真週報』にみる防空啓発/昭和十三~十五年度/昭和十六~十七年度/昭和十八~十九年度/関東大震災への言及の少なかった『写真週報』/4 東京市・都の広報と関東大震災/全体的傾向/大震災関連の記述/精神論を強調していった東京市・都の広報/5 様々な媒体による防空啓発/防空展覧会/防空絵本・防空絵解き・少年防空読本/防空紙芝居/防空映画/この章のまとめ/第七章 国民防空の手本になった「神田和泉町・佐久間町」/1 「神田和泉町・佐久間町」の事蹟/『神田復興史並焼残記』/今日の評価/2 防空の模範として脚光を浴びる/昭和十二、十三年の講演/東京府による史蹟指定/昭和十六年以降の広報活発化/3 国民防空の手本になる/教育紙芝居『関東大震災』/修身教科書「焼けなかった町」/東京市・都の広報/震災記念行事と防空啓発/4 戦後への影響/東京の震災対策/木札と石碑/この章のまとめ/第八章 「国民防空」の浸透/1 防空訓練の思い出/町内会や隣組の防空訓練/国民の防空意識形成の背景/2 防護団・警防団と燈火管制/防護団を担った人々/燈火管制に伴う指導/3 町内会・隣組と「常会」/4 生活基盤になった町内会・隣組/この章のまとめ/終章 国民防空の「失敗」を繰り返さないために/1 都合よく使われた関東大震災/国民防空の展開と関東大震災/関東大震災の使われ方/関東大震災の役割/2 町内会・隣組を通じて浸透した「国民防空」/3 「国民防空」の目的──戦争継続のための国民統制/4 「思い込み」で進んだ国民防空/事態の想定の甘さ・固定化した想定/時間概念の欠如・手遅れになった対応/都合良く考える傾向・精神性への過度の依存/上意下達・「縦割り」・「先送り」・「応急で暫定」・同調圧力/「国民防空」と認知バイアス/5 国民防空の失敗を繰り返さないために/適切な想定と対策目標/過去の教訓を正しく活用/情報公開と共有/「想定外」「思い込み」「正常化の偏見」の自覚と多面的な対応策/6 これからの危機対応に向けて/「防空文化」の批判的継承/多面的対応ができる主体の育成/おわりに/参考 国民防空の展開に関する年表及び資料/国民防空の展開 関連年表/参考資料

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