内容説明
わかり合えない他者を、敵にしないために。
分断が極まり、「正しさ」がSNSでぶつかり合う社会で、私たちは他者といかに語り合えるか。アメリカの哲学者リチャード・ローティは、共通の基盤なき世界でそれでも人が共に生きる可能性を問い続けた。その哲学から、分極化の時代を生きるための知的作法を鮮やかに引き出す。大好評だった『100分de名著 リチャード・ローティ『偶然性・アイロニー・連帯』』テキストを大幅改稿。死後に注目された「予言」や主著以外の発言にも光を当て、その思想の先進性をいま問いなおす。著者初の新書!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
49
本書は哲学者である朱さんが、ある哲学者の入門書としてまとめた作品。ある哲学者とは、アメリカの哲学者であるリチャード・ローティ。異端の哲学者とも言われる人。ご存知ない人もいると思う。だが、安心してほしい。まったく知らなくても本書は読むことができる。本書のテーマの核。SNSでの分断や政治的な極端化が進み、「お互いの『正しさ』が衝突し合う現代」において、わかり合えない他者と敵対せずにいかに会話を続け、共に生きていくかを模索する。そのテーマを考える上で、リチャード・ローティの考え方を用いる。2026/06/17
小太郎
45
リチャード・ローティ(初めて知りました)の哲学を朱喜哲さんが分かり易く解説しているローティ入門書。この本で一番感心したのはリベラルの定義。自分はリベラルって一体何?と言われるととても困ってしまいます。(今の日本でのリベラルと呼ばれる人たちが何を考えているのかも良く分からないけど)この本で「リベラルとは残酷さの回避」と言われて初めてリベラルの本質が分かったような気がします。勿論これはローティの定義なんだろうけど。それに伴う論理の展開はネオプラグマティズムの代表と言われるだけあってとても納得できました。★42026/08/25
venturingbeyond
39
バザールとクラブの二分法により、それぞれの共同性に応じたコミュニケーションを各自がとることで、「神々の闘争」と「負荷なき自我」の寄る辺なさの双方を回避し、リベラルな公共性を担保するローティの政治哲学の核心部分を平易に読者に示してくれる。巻末の参考文献リストもありがたい。本書でローティの可能性と問題点に関心が深まったなら、その主著に進むもよし、著者の『〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす』や『ネガティヴ・ケイパビリティで生きる』に進むもよし。入口の一冊としてとてもよくできたR.ローティの入門書です。2026/06/10
ケイティ
37
人は人という諦観や、みんな違ってみんないいという相対主義でなく、人は本質など持たない互いに偶発的な存在だからこそ、会話を続けて固執しないことが重要。同じ人間だから理解できるという幻想を捨て、「残酷さ」の感性を磨き、異なる「正しさ」を踏まえたうえで、個々人として都度の振る舞いを考えていくこと。反射神経としての言語化が進み、その強権性や暴力性への危機感は強まるばかり。身体性のある会話を絶やさず改訂していく。時間はかかるが、その積み重ねが社会設計と行動へ繋がるはず。近年読んだ本と通じる示唆もたくさんあった。2026/08/27
mikarin
24
SNSで流れてきて表紙に惹かれて読んでみました。バラバラな世界で共に生きるために、わかりあえない他者を敵にしないために出来ることがあるの?って思って。ローティという哲学者は知らない人だし、そもそもこの著者も知らない人だし。それでも私にとって切実な悩みだったから。我が家で起こってる政治的な分断。私と夫の考え方の違い。それを埋める何かがあるなら知りたかった。でも結論から言うと簡単な答えは書いてなかったです。それはそうだよね。正直なところ私には難しくて分からないところが多すぎた。めっちゃ頑張って最後まで読んだ。2026/07/10
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