内容説明
「犯人だって、好きで犯罪に走ろうとしているわけではありません。必ず迷いがあります。その段階でうちに来てもらえれば、犯罪の発生を未然に防ぐことができます」──そのNPO法人には、罪を犯すか悩む人が相談にやってくる。相談員はそんな犯罪者予備軍たる人々から聞き出した犯行計画の穴を次々と指摘していく。相棒の剽窃に怒るミュージシャン、夫の罪が露見することを恐れる妻、想い人の死に復讐を決意した大学生……。不備を突かれた者たちの殺意は、果たして本懐を遂げるのか。犯罪発生を未然に防ぐ!? 新しい形の倒叙ミステリ短編集!/【目次】五線紙上の殺意/夫の罪と妻の罪/ねじれの位置の殺人/かなり具体的な提案/完璧な計画/解説=若林踏
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Shun
25
倒叙ミステリにはこんな形もある。ある人物を亡き者にしたいと願う殺人者予備軍たちが訪れたこの場所は、とあるNPO法人もとい悩み相談所。優秀な相談員が未来の殺人犯に対し懇切丁寧に犯行計画の穴を指摘し、しまいには相談者はリスクと実現の困難さを悟る。起きたかもしれない殺人事件を未然に解決するという倒叙ミステリ短編集となっています。本書は文芸誌「紙魚の手帖」に掲載されたものが文庫にまとめられたという形式上、各話冒頭や話の形式が似通っているが、それぞれブラックユーモアのあるオチがつきエンタメよりの作品として楽しめた。2026/06/25
キナコ
23
初作者。短編の倒叙ミステリー。犯罪を考えている人々がカウンセラーに相談できるNPO法人。犯罪計画の穴を淡々と述べていく相談員がかっこいい。憎い相手を殺したいが捕まりたくないのも本心。様々な相談者が自分の心の内を相談していく。完璧そうに見えても、現在の警察ならそういう手順で捜査して犯人に行き着くよねーって思える話が多い。だいたい50ページくらいの短編のため初めてのミステリーでも読みやすいかな。2026/07/22
よるのもち
17
人を殺したいと悩む人が訪れる駆け込み寺的なNPO法人を描いた連作短編。計画の穴を指摘していくという流れがエンタメ的に純粋に面白いです。新感覚な倒叙ミステリで各話のオチの付け方もバリエーション豊富で良かった。『ねじれの位置の殺人』が個人的ベスト。2026/08/14
小梅さん。
12
犯罪者のための駆け込み寺、なんていう設定からして面白い。 で、人殺しを企む相談者の計画のあらを次々指摘する。 捕まりますよ、そうでなくても殺害自体ができませんよ、と。 相談者も動機も、相談の結果もそれぞれ。 正直、大いなるマンネリのパターン化された展開を予想していたので、いい具合に想像を裏切ってくれた。 ロジックを積み重ねる石持さんの得意な展開に新しい流れだ。 続編が出たらぜひ読みたい。2026/07/11
No-Taka
6
犯罪者予備群の相談に乗るNPOが、殺人予備者から「これから起こそうとしている犯罪」の計画を聞く、というめちゃくちゃ斬新な形式の倒叙ミステリ。……なんだけど、アイデアが爆裂良かった割に第一話がピークで、その後に盛り上がりを作れなかった感。相談に行くまでの流れが毎回同じだったり、相談員が昨今のAIくらい否定せず冷静な回答をしてくる「乾いた」感じは嫌いではない。なんとなくショートショートにありそうな、乾いていて音がしない世界観というか。そのへん良かっただけに、もう一編だけでも強いのがあればなぁ、と思ってしまう。2026/07/21




