内容説明
〈ブッカー賞/コスタ賞受賞〉十六世紀英国。国王ヘンリー八世が世継ぎを望む中、王妃の不貞の噂が宮廷をかけめぐる。『ウルフ・ホール』に続き辣腕政治家トマス・クロムウェルの人生を描く傑作
1535年秋、ロンドン。
ヘンリー八世の王妃になったアン・ブーリン。しかし、その地位はおそろしく脆いものだった。
卑しい生まれのトマス・クロムウェルは、いまや王の重臣となっている。だが、平穏な日々はいまだ遠い。国家はキリスト教国のあいだで孤立し、貴族たちはそれぞれの思惑を抱え、熱望する世継ぎがなかなか得られない王は女官ジェーン・シーモアに心を移す。クロムウェルは王と国家にとって最善の道を探るが――
16世紀イギリスの宮廷に生きる冷静沈着な政治家クロムウェルを描く、『ウルフ・ホール』に続く歴史文芸大作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
148
《ブッカー賞》語りがうまい。あっちをふらり、こっちをふらり。よちよちしたと思ったら、年増の毒舌、高笑い。しかし、視線はクロムウェルに寄り添う。終盤にね、ようやくあんたの気持ちがわかったよ、トマス・クロムウェル。担いだ右手、左足...、身体もついでにお縄にしてやれ。張本人の首を取れ。しかし、本当の悪は、そこにのさばっているよ、トマス。そして、ヘンリー八世への作家の高笑い。この能力なし、男としてヘタレだねって。自分の不甲斐なさは女をかえたところで…、甲斐性無しめ! 二部作共にブッカー賞。三部作目も期待する。2018/06/21
ケイ
117
これ、よく観るとすごい絵だ。ロンドン塔に連れていかれたアン・ブーリンのこの絵にはちゃんと顔があるのに、表紙のは、首のところで切ってある。アーメン。でもね、クロムウェルには、ヘンリーは切れにくい斧を使わせたらしいよ。あなたはswordで一刀のもとに終わったんだもの。最後の1ページも語りががらりと変わって怖い怖い。ヒラリーマンテルの毒舌、やめらんないわ。2021/06/25
ケイ
114
クロムウェル三部作の第二部。再読。導入部が、最後に再び現れ、締めくくられる。そしてその次に続く。Hilary Mntel の毒は、アン・ブーリンのよりもはるかに強く、彼女の手からクロムウェルの手に、次々と渡されていく。左手、左足、右手、右足、そして胴体。動機に執念があってもよいではないか。Mantelの緻密な計算通りに、かつてのホワイトホールやその周辺にいた人たちがそれぞれの役を演じ分ける。フランスの処刑人のスマートな手際が、おフランスかぶれの、アンへの、ブーリン家への皮肉だろうか。第三部は長い原書。2021/05/05
ケイ
105
三部作、3000ページ以上の中で、やはりあの数十ページにクライマックスがある。クリスマス劇で嘲笑されたウルジーの姿を許せずに、拳を振り上げ、追い詰めてゆくクロムウェルの興奮。ウルジーが奪われたものを取り返してやる、ただではすまさん、と。しかし、敢えて外していく人達から、彼の破綻も見える。それがマンテルの描くクロムウェルの転落のきっかけのひとつ。2022/09/14
藤月はな(灯れ松明の火)
85
アン・ブーリンとヘンリー8世との結婚を成立させたクロムウェルだが、ブーリン家の増長、国教会成立とトマス・モアの処刑による宗教界からの反発、ローマ・カトリックやスペインからの敵意など、まだまだ、気が抜けない。前メアリー女王が経済的に困窮していた理由に唖然としてしまう。身内すら吸血鬼な王族とは一体、何なのか。ヘンリー8世の嘆きは女からすると「何、寝呆けた事、言ってん」と思うしかないが、そんな者でも王として立てなければならない。そして史実を知っているとアン処刑後にクロムウェルを待つのは余りにも遣り切れないものだ2017/11/05




