中公新書<br> 日本語の書き言葉はどう変わってきたか せめぎ合う漢字・ひらがな・カタカナ

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中公新書
日本語の書き言葉はどう変わってきたか せめぎ合う漢字・ひらがな・カタカナ

  • 著者名:釘貫亨【著】
  • 価格 ¥1,078(本体¥980)
  • 中央公論新社(2026/04発売)
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  • ISBN:9784121029058

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内容説明

「お値打ちセール20%OFF!」
日本語では漢字・ひらがな・カタカナ、それにローマ字まで同じ文に共存しているが、これほど複雑な文字体系は世界に類を見ない。
漢字からひらがなやカタカナが生まれたが、それらは独自に発展してきた。
やがて藤原定家がひらがな文に漢字を所々に混ぜ、仏教説話で漢字カタカナ交じり文が生まれた。
今ではひらがな文が圧倒的に優勢となった。
文字が生んだ多様で高度な文化社会の変遷を辿る。

■□■目次■□■

はじめに
第一章 漢文と漢字
 第一節 無文字社会からの離脱
  五世紀の『宋書』「倭国伝」/五世紀日本の文字資料/倭王武(雄略天皇)/文字による支配権力の誇示/仏教と倭人の読み書き能力の向上
 第二節 律令国家と公文書行政
  文字依存社会への急激な移行/戸籍と計帳による住民の掌握/はじめての日本語記載/難波宮跡万葉仮名木簡/ウタを記載する

第二章 漢字を使った日本語転記
 第一節 和歌と宣命――日本語を記すということ
  和歌資料の重要性/国家的要請から生まれた宣命
 第二節 祝詞と宣命の先後関係
  祝詞の古さについて/律令宣命の新しさ
 第三節 万葉仮名の森からの解放
  万葉集儀礼歌の行く末/万葉仮名の森を抜ける

第三章 ひらがなのあゆみ
 第一節 ひらがな文と文芸
  ひらがなの成立/平安時代の古写本の体裁/古今和歌集
 第二節 藤原定家の表記改革
  読めなくなった王朝文芸/定家による歌文の表記改革/古典文芸の表記の変遷
 第三節 平安末期の日本語の歴史的変化
  古代語の音変化/古代語の文法変化
 第四節 定家本『土佐日記』の漢字使用
 『土佐日記』の特異性/定家写本の新たな資料価値
 第五節 貫之自筆本と定家本の和歌の漢字使用の違い
  定家本に注目しよう/読書習慣の変化
 第六節 和漢混淆文に吸収されたひらがな文
  和漢混淆文とは何か/文芸ジャンル「和漢混淆文」の成立

第四章 近世ひらがな文の展開
 第一節 戦国時代分国法の文体
  中世東国の公文書/伊達家「塵芥集」の文体
 第二節 江戸時代の出版文化と書き言葉
  十七世紀の識字層の拡大/契沖の上代研究と歴史的仮名遣い/仮名遣いを呼び込んだ江戸時代のひらがな文
 第三節 明治普通文と言文一致運動の葛藤
  近代国家にふさわしい文体とは何か/東京語の成立
 第四節 言文一致体の矛盾
  近代社会を揺るがせた仮名遣い改定問題/政治問題化した仮名遣い

第五章 カタカナのあゆみ
 第一節 漢文訓読とカタカナ
  平安時代を拓いたひらがなとカタカナ/カタカナの起源
 第二節 カタカナの成立とカタカナ文
  漢文訓読の開始/漢字に付着したカタカナ/王朝文語で書かれたカタカナ交じり文/漢字カタカナ交じり文出現の理由/漢字カタカナ交じり文の資源としての漢文訓読語/説話文学のカタカナ交じり文
 第三節 室町時代のカタカナ交じり文
  口語体の漢字カタカナ交じり文/近世古典注釈のカタカナ口語文

第六章 実用的カタカナ文の展開
 第一節 近世の実用的カタカナ文――明治普通文への資源的準備
  漢字カタカナ交じり文の性格/知的実用文としての展開/近代公文書書式への準備
 第二節 明治政府の公文書書式――明治普通文
  五箇条の御誓文/カタカナ交じりの公文書
 第三節 カタカナ・ひらがな・漢字・ローマ字の共存――大量消費社会と自然科学
  同じ文脈での異種文字の共存/ひらがな文の拡大/ワープロ等の書き言葉への影響

終章 日本語の書き言葉の不思議
  日本語の無文字体質/ひらがなの消極性/漢字の補助字体としてのカタカナ/カタカナ文成立の契機/明治普通文の有用性/言文一致運動/仮名遣い改定問題/知的文体におけるひらがな文の優位性/慎ましい文字・ひらがなの勝利

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

60
【漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字というような複雑な文字体系を持つ国は、日本以外に世界で例がない】文字を獲得してから近代に至るまでの日本語と文字との密接な関係について解説した書。巻末に索引。<「決算棚卸セール!最大20%OFF!お値打ち品がドッサリ満載!」/このような異種文字が共存することを許す条件は、かねてから日本語の文法構造の中に存在していたのである。日本語の文法と語彙の表記体系がこのような開かれた構造を持つ理由は、日本語が本来無文字であり、絶対無比の文字が存在しなかったからである>と。ええ。⇒2026/06/15

よっち

23
漢字・ひらがな・カタカナ、ローマ字まで同じ文に共存する日本語。世界に類を見ない複雑な文字体系の1,500年にわたる書き言葉の歴史を描く1冊。無文字社会から漢字到来、万葉仮名、ひらがな・カタカナの誕生、明治の言文一致運動まで通史的に追い、漢字が万葉仮名により日本語表記が可能になり、女性貴族の文芸から生まれたひらがなは、藤原定家の表記改革で現代の漢字仮名交じり文の原型を生み、カタカナは仏教・学術・公文書の知的実用文体へ発展する一方、明治時代の明治普通文と言文一致体の対立を明らかにする内容は興味深かったですね。2026/05/16

MUNEKAZ

15
ひらがなとカタカナの話がメイン。明治の法令なんか見ると漢字カタカナ文ばかりで「なんでこんな読みにくい表記なんだろう」と思うが、その疑問が氷解する。そもそもカタカナは漢文を訓読するための補助という実用的な目的から生まれ、故に公文書という「実用文」に使われた。反対にひらがなは、お気持ちを表すために平安時代に生み出され、藤原定家の改革や明治の言文一致を経て、ついに漢字カタカナ文を駆逐する。固有の文字を持たなかったことによる開放性と、外国の文字(漢字)を使う無理が、日本語の複雑な文字体系には同居していると思う。2026/05/16

しまたる

5
分かるようで分からないなんとも言えない本だった。かつては表記と読み方が異なる文字が多かったのは興味深かった。助詞の「は」、「へ」、「を」は数少ない生き残りか2026/06/05

CTC

5
4月の中公新書新刊。著者は名大名誉教授の日本語学者。タイトルから略語や若者語などの今日的なお話かと思ったらばさにあらず。日本で文字が活用されるようになってからの変化を通史的に見ていくものだ。 日本語は本来文字のない言語だった、と云う今更ながらの事実提示が私にとっては大発見。たかだか1500年、公文書に至っては160年前まで漢文なのだ。しかしゆえに進化過程を辿る読書は識る愉しさに溢れた読ものになった。一方で…古文なぁ、雅語とか平安貴族すら発音分からんくなったというのに…法則性のない話は生産性がないっすなぁ。2026/05/29

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