内容説明
本書は、有機金属化学の基礎を解説したベーシックパートと、炭素以外の典型元素と遷移金属間に共有結合を有する錯体を解説したアドバンストパートから成る。ベーシックパートは、有機金属錯体を取り扱う上で重要となる基本的な概念と反応を初学者向けに丁寧に解説。さらに読者の理解を深めるために、演習問題をふんだんに取り入れ、13章に丁寧な解答を付した。
アドバンストパートは、炭素以外の典型元素を配位原子として遷移金属と共有結合をもつ錯体について解説。8章では炭素と同じ14族に位置するケイ素を配位原子とする錯体、9章では13族元素を配位原子とする錯体、10章では15族元素、11章では16族元素を配位原子として遷移金属と共有結合をもつ錯体について取り上げた。いずれの章においても、報告されている錯体を列挙するのではなく、その錯体を取り扱う際に基本となる考え方を解説する。配位原子が炭素から他の典型元素に代わることによりどのような影響が表れ、それは何に起因しているのかに焦点をあてた。13族から16族の元素を配位原子とする遷移金属錯体を鳥瞰的(ちょうかんてき)にとらえた点が本書の特徴である。
12章では、有機金属化学が発展してきた足跡を、ノーベル賞受賞研究の観点から解説。有機金属化学が世の中に与えたインパクトを肌で感じ取っていただければ幸いである。(前書きより)
目次
巻頭言
はじめに
目次
1章 有機金属化学とは
1-1 有機化学と無機化学
1-2 錯体化学
1-3 有機金属化学
2章 有機金属錯体の基本的考え方
2-1 EAN則
2-2 18電子則(Eighteen Electron Rule)
2-3 電子数の数え方
2-3-1 遷移金属側
2-3-2 配位子側
2-3-3 錯体全体の電荷
2-3-4 電子数を数える
2-4 形式酸化数とd電子数
2-4-1 形式酸化数(formal oxidation number)
2-4-2 形式酸化数の決め方
2-4-3 d電子数
2-5 金属間結合次数
2-6 有機金属錯体の構造
3章 有機金属錯体の結合
3-1 遷移金属-炭素間σ結合
3-2 遷移金属-炭素間π結合
3-2-1 σ結合とπ結合
3-2-2 金属-カルボニル結合
3-2-3 金属-オレフィン結合
3-3 理論的考察
3-3-1 結晶場理論(crystal field theory)
3-3-2 配位子場理論(ligand field theory)
3-3-3 18電子則が成立する理由
3-4 四配位d?錯体が16電子平面四角形錯体となる理由
4章 カルボニル錯体,オレフィン錯体,ホスフィン錯体
4-1 カルボニル錯体
4-2 オレフィン錯体
4-2-1 金属の酸化状態の変化
4-2-2 オレフィン上の置換基
4-2-3 プロペラ型回転挙動
4-2-4 オレフィンのC=C二重結合距離
4-2-5 オレフィンのbent back angle
4-3 ホスフィン錯体
5章 カルベン錯体 ―遷移金属-炭素間に二重結合を持つ錯体―
5-1 カルベン錯体の歴史
5-2 カルベン錯体の性質
5-3 カルベン錯体の反応性
6章 有機金属錯体の基本的な反応
6-1 酸化的付加反応(Oxidative Addition Reaction)
6-1-1 Vaska錯体
6-1-2 C-H結合活性化反応
6-1-3 オルトメタル化反応(Orthometallation)
6-1-4 酸化的付加反応の起こりやすさ
6-2 還元的脱離反応(Reductive Elimination Reaction)
6-2-1 cis-[MR?L?]錯体(L=ホスフィン,M=Ni, Pd, Pt)の還元的脱離反応
6-2-2 還元的脱離反応の起こりやすさ
6-2-3 還元的脱離反応におよぼす添加効果
6-2-4 協奏的還元的脱離反応
6-3 挿入反応(Insertion Reaction)
6-3-1 CO 挿入反応(CO Insertion Reaction)
6-3-2 オレフィン挿入反応(Olefin Insertion Reaction)
6-3-3 β水素脱離とβアルキル脱離(β-hydride elimination, β-alkyl elimination)
7章 有機金属錯体が示す触媒反応
7-1 オレフィンの重合反応
7-1-1 Ziegler触媒
7-1-2 Natta触媒
7-2 オレフィンの異性化反応
7-3 オレフィンのヒドロホルミル化反応
7-4 ワッカー法
7-5 モンサント法(酢酸合成法)
8章 14族元素を配位子とする錯体の化学 ─炭素の下に位置するケイ素を配位原子とする遷移金属錯体─
はじめに
8-1 遷移金属シリル錯体
8-1-1 遷移金属シリル錯体の合成法
8-1-2 遷移金属シリル錯体の結合様式
8-1-3 シリル配位子が遷移金属中心へおよぼす影響
8-1-4 遷移金属シリル錯体の反応性
8-2 η -シラン錯体
8-2-1 η -シラン錯体の結合様式
8-2-2 η -シラン錯体の反応性
8-3 シリレン錯体
8-3-1 シリレン錯体の存在が仮定された反応
8-3-2 シリレン錯体の結合様式
8-3-3 シリレン錯体の合成法
8-3-4 Schrock型シリレン錯体
8-3-5 シリレン錯体の反応性
8-4 含ケイ素3員環錯体
8-4-1 シレン錯体
8-4-2 ジシレン錯体
8-4-3 シライミン錯体
8-4-4 ホスファシラメタラシクロプロパン
8-5 ケイ素原子が架橋した遷移金属複核錯体
9章 13族元素を配位子とする錯体の化学 ―ルイス酸性配位子の遷移金属錯体―
9-1 M-BR?錯体
9-1-1 はじめに
9-1-2 遷移金属ボリル錯体の合成
9-1-3 ホウ素-金属結合の性質とボリル錯体の構造
9-1-4 ボリル錯体の反応性
9-1-5 ボリレン錯体
9-1-6 おわりに
9-2 アルミニウム,ガリウム,インジウムおよびタリウムが結合した金属錯体
9-2-1 M-E錯体(E = Al, Ga, In, Tl)の歴史
9-2-2 錯体の構造
9-2-3 結合
9-2-4 M-ER型錯体のM-E結合
9-2-5 合成
9-2-6 反応
9-2-7 おわりに
10章 15族元素を配位子とする錯体の化学 ― 一対の孤立電子対を持つ配位子の遷移金属錯体 ―
はじめに
10-1 M-NR?錯体
10-1-1 遷移金属アミン錯体の金属-窒素結合
10-1-2 遷移金属アミド錯体の金属-窒素結合
10-1-3 遷移金属アミド錯体の合成
10-1-4 遷移金属アミド錯体の反応性
10-2 M-PR?錯体
10-2-1 遷移金属ホスフィド錯体の金属-リン結合
10-2-2 遷移金属ホスフィド錯体の合成と反応性
10-2-3 リン配位子のその他の結合様式
11章 16族元素を配位子とする錯体の化学 ― 二対の孤立電子対を持つ配位子の遷移金属錯体 ―
はじめに
11-1 M-OR錯体,M-SR錯体の合成
11-2 M-OR錯体の結合と性質
11-3 M-SR錯体の性質
11-4 おわりに
12章 有機金属化学関連のノーベル化学賞受賞研究
はじめに
12-1 オレフィン重合触媒
12-2 サンドイッチ構造を持つ錯体
12-3 導電性高分子
12-4 不斉触媒
12-5 メタセシス反応
12-6 遷移金属触媒を用いるカップリング反応
12-7 おわりに
13章 問題解答
索引
著者略歴
奥付
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- ぼくらニセなかよし 児童創作絵本



