内容説明
第175回直木賞受賞作。利発だが酷い痘痕の姉ふゆ。逆上せ癖で縹緻よしの妹りよ。幼くして父を亡くし、ふゆは手習師匠の手伝いに、りよは船宿の下女奉公に出された。師匠の養子で禍々しいほどに歪んだ性癖をもつ宗三郎から手籠めにされたふゆは懐妊するが、現人神と崇められる女医者と出逢い、彼女の人生は大きく変わっていく。自我に目覚めた主人公が、女の生と向き合う、時代小説の新しい扉!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
333
朝倉 かすみ、5作目です。本書は、異色の時代小説、「けんぐゎい」が圏外だとは思いませんでした。特殊技能があれば、何時の時代も生きていける。 https://books.kobunsha.com/book/b10168379.html2026/05/30
さてさて
311
『おまえは、一生、外側にいるしかないんだ。わたしらの側には入れない』。宗三郎に言われた言葉を一生涯忘れずに力強く生きて行くふゆ。この作品には『け、ん、ぐゎ、い』=『圏外』という言葉を自分の中でプラスに変えて生きるひとりの女性、ふゆの物語が描かれていました。今とは全く異なるキョーレツな価値観が前提設定となるこの作品。そんな時代をひたむきに生きるふゆの姿に魅せられるこの作品。“書きたい、書きたい”という思いの先に朝倉さんが渾身の筆致で描かれた”時代小説”。朝倉さんの思いがひしひしと伝わる素晴らしい作品でした。2026/04/22
いつでも母さん
169
タイトル装画がインパクトありすぎで・・あら、朝倉さん、こんな前面に押しの強いのも書くのねって感じ。意外っちゃ意外だったが、「」や〈〉カタカナ混じりの文章がちょっとだけ読みにくい(当方比)朝倉さんのもの凄いエネルギーにどこに進むのかとドキドキした。落ち着く先に驚きはなかったが、女は強いを突き付けてきた。圏外か・・私も誰かから見たらどこかは圏外なのだろうなとつぶやいてみたりして。だって装画が私に問うているんだもの(汗)【第175回直木賞候補作品】2026/06/11
hiace9000
160
反転する白と黒、善と悪―。時代は江戸、圏外に置かれた女たちが夜に蠢く、躍る、うねる―。ぬらぬらと、ぬたぬたと…それは時に世を恨む呪詛のもたらす反撃か、あるいは人外の獣神が繰りだす呪術のようなどす黒い神の業か…。ストーリーテラー朝倉さんの直木賞受賞作は、圧倒的な「言葉の力」をもってこれまでの常識の”圏外”から小説世界にのしのしと踏み込み、獣神の唸り声とともに読み手の心にどっかと腰を下ろす。女たちの生の声、生の語りのもつ赤裸々にして血生臭いまでの圧倒的迫力に、脳内の視界を完全に支配されてしまうのである。2026/07/27
モルク
156
朝倉さんには珍しい時代小説。6才で重い疱瘡にかかり九死に一生を得たものの全身に醜い痘痕が残った主人公ふゆ。手習所で働くがそこのあととりに迎えた養子宗三郎がえらいクズ。次々と女を手込めにし「圏外」だったふゆもその餌食となる。尻だけ痘痕がなくそれを揶揄し犯す宗三郎がいやらしい。そして妊娠したふゆが女医者おこまさまと出会いその才能を見込まれ修行するが…。出自や見目で女の運命が決まった時代に利発に逞しく生きたふゆ。内容も重いが赤くうねうね動く宗三郎の唇の印象がやけに強くいつまでも離れなかった。2026/09/10




