内容説明
平成3年、神奈川県で発生した2児同時誘拐事件から30年。
当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「現在」を知る。
未解決のまま異様な展開をたどった事件の真実を追ってきた刑事たちの求めから、門田は再び30年前の事件と向き合うのだった。
そして取材を重ねていくなか、ある写実画家の存在が浮かび上がる――。
第9回渡辺淳一文学賞受賞、2024年度本屋大賞第3位、
「本の雑誌」が選ぶ2023年度ベスト10第1位!
質感なき時代に「実」を見つめる著者渾身の長編小説が遂に文庫化。2027年映画化決定!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
seba
29
印象的で余韻の残るタイトルだと改めて思った。三十年前に起きた二児同時誘拐事件。この事件には「空白の三年間」があり、今なお未解決であった。新聞記者の門田は、事件を追い続けていた昔馴染みの刑事の物故をきっかけに、今一度この事件について取材を進めていく。触れたつもり、見たつもりになっているそれの存在は果たして確かか。これは写実画家としての志向だけでなく、門田自身が取材を通して書きたいものとは何かという信念の話にも繋がる。外部の人間の視点が多いため作品として語られていない部分がある。そのすべてを知るのは彼らだけ。2026/05/20
よっち
26
平成3年に発生した神奈川二児同時誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田が、旧知の刑事の死をきっかけに再取材を始める執念の物語。時間差で起きた2つの誘拐事件で失踪したまま、3年後に無事保護されたものの、写実画家としてひっそりと生きていた如月。彼が誘拐事件の被害者だったと週刊誌に報道され、門田が事件の真相を再び追い始める展開で、辿り付いたその後の生活はどうだったのか。人生に大きな影響を与えた空白の3年間の意味、繋がってゆく積み重なってきたかけがえのない様々な想いがひしひしと感じられる物語でした。2026/04/08
ぴ〜る
18
どんどんどんどん引き込まれてゆくストーリーだった。色んな人や色んな出来事が交差しながらいつの間にかひとつの線になってゆくような。。。必然なのか偶然なのか。。。物語が明らかになってゆくにつれて心がとても苦しく切なくてたまらなくなった。久しぶりに読んだ塩田武士さんは素晴らしい1冊だった。2026/06/07
ぐっち
17
未解決事件の真相を30年後に再び取材していく話。事件に至るまでの話と事件後の話もあり、意外な真相にたどり着く話で面白かった。恋愛についてはロマンチストだなと思った。映画化とのこと、亮は誰が演じるのかが気になります。2026/06/15
速読おやじ
15
誘拐事件を巡るミステリーとして始まるが、読み終えた後に残るのは「家族とは何か」「親子とは何か」という問いだった。以前読んだ『罪の声』が社会派ミステリーなら、本作は人生派ミステリーと言いたい。バラバラに見えた出来事や人物が最後に見事につながり、その構成力に引き込まれる。血縁だけでは語れない親子の絆や、人の人生が偶然や環境によって大きく左右されることの切なさも胸に響いた。よくここまで緻密な物語を組み上げたものだと感心する。ミステリーとして面白いだけでなく、人間ドラマとしても深く心に残る一冊だった。2026/05/11
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