内容説明
大好きな母親とルーヴル美術館を訪れた女性。かつてパリ留学中に出会ったという父と母の、ある絵にまつわる秘密を知ることに。バブル期の好景気のなか、NYに出張し、ゴッホ「医師ガシェの肖像」のオークションに携わることになったシングルマザーなど、名画に導かれ、自らの人生に向き合う人々を描く心温まる5篇の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
タックン
117
美術館勤めしてた一色さんの絵画を巡る短編集。表題作はテーマもストーリーもよかったけど中編・長編でよみたかった。(富士山・・)はバブル期の実際にあった(医師ガシュの肖像)オークションの話をモチーフにした話。油谷会長の絵をどうしても購入したい理由が旧友への思いだったとわかり胸が熱くなった。含蓄ある言葉もためになる。真美と息子の母子の葛藤と融和がリアルでよかった。息子翔太がほんと聡明だ。1番は(オスロ・・)で自分もぼくのようになったので共感を覚えた。イリヤが黙ってぼくの話を聞いてるシーンが映画のようで癒された。2026/07/28
みかん🍊
79
絵画に纏わる5編の短編集、好きな作品と読むのを止めようか思う作品があった、時代が様々でナチス政権の話には胸くそ悪く素晴らしい絵画を燃やしてしまったとか信じられない独裁者、戦争は悪でしかない、「富士さんのハンマープライス」が一番好きだった絵の値段や資産価値ではなく本当に自分にとって価値があるかどうかである、知らない絵もあったので画像を見ながら読んだ。2026/09/02
Ikutan
67
ムンクの『叫び』、フランツ・マルクの『青い馬の塔』、ゴッホの『医師ガシェの肖像』、エドゥアール・マネの『スミレの花束をつけたベルト・モリゾ』、ティツィアーノの『田園の奏楽』、五つの絵画をベースにした短編集。名画に導かれた人生ドラマは多彩で、短いながら読み応えあり。ナチスドイツの時代の退廃芸術展、オークションや贋作疑惑、戦前の画塾など絵画をめぐるあれこれは知らなかったことも多くて興味がわいた。美術品は本来はプライスレス。自分にとって価値があるかどうかなんですね。アートに造詣深い一色さんならではの一冊。2026/09/02
konoha
51
作者が得意とする美術作品をテーマにした短編集。人間ドラマが細やかに深く描かれていて良かった。時代を行き来する構成も新鮮。印象的なのは「青い馬の瞳」。ナチス政権下の暗い雰囲気が作風と合っていてかっこいい。「富士山のハンマープライス」は地元が出てくるので1番好き。静岡を缶詰王国にした立役者、油谷がゴッホの絵を落札するのか。豪快で強欲で心根は優しい。今では数少ないタイプの経営者の人間味が愛おしい。5編とも絵に苦しめられ、救われた人たちの物語でもある。ネットで作品を検索しながら読むとより楽しい。2026/07/31
まる
35
著名な絵画をモチーフとした短編集。 絵に隠された秘密とその絵に魅了された人々の苦悩や悔いの対比が面白かったです。ただ短編なので起承転結が割とあっさり。長編で読んでみたかったな。 絵画に疎いのでネットで絵を参照しながら読みました。ムンクは「叫び」しか知らなかったのですが「太陽」という作品は素敵ですね。希望の光があふれんばかり。いろいろと勉強になりました。絵の良さは自分の価値観で決めるもの、確かに。2026/08/04




