内容説明
それは都市を導き、未来を方向付ける塔になる――。建築家・牧名沙羅は、〈同情されるべき人々〉【ホモ・ミゼラビリス】が暮らす新時代の刑務所・シンパシータワートーキョーのコンペに参加する。人は、どこまで寛容で在らねばならないのか。空虚な言葉と正義が支配する東京に、沙羅のデザインしたタワーがそびえ立つ。生成AI時代の到来を預言する衝撃の芥川賞受賞作。文庫化に際し、単行本未収録の短編と、建築家・永山祐子さんとの対談を収録。(解説・青木淳)
感想・レビュー
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よっち
26
ザハ案の国立競技場が完成し、徹底した寛容論で犯罪者すら優遇される社会。新宿御苑に超高層刑務所が建てられる物語。自身の苦い過去の経験から犯罪者に寛容になれない建築家・牧名沙羅が、設計コンペに挑むものの仕事と信条の乖離に葛藤し、設計した建物が「東京都同情塔」と名付けられ定着していく皮肉な構図で、多様性を尊重するとはどういうことか、曖昧な言葉でオブラートに包めばいいのか。同情をされるべき犯罪者が自由に優雅に暮らす欺瞞、比較が良くないとされ、寛容であることを求められるもやもやに垣間見える複雑な想いが印象的でした。2026/04/23




