「数値化」中毒 - なぜ手段が目的に変わるのか

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「数値化」中毒 - なぜ手段が目的に変わるのか

  • 著者名:小塩真司
  • 価格 ¥999(本体¥909)
  • PHP研究所(2026/03発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784569860992

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内容説明

私たちの社会はあらゆる場面で「数字」「数値」「診断」「判定」「選抜」に取り囲まれている。学校ではテストの点数や通知表の評価、習いごとの級や段が、努力や能力の尺度として示される。受験期には偏差値や合格判定といった数値が進路を左右し、大学ではGPAが学業成績や将来を決める重要な指標となる。社会に出れば、売上や評価点、SNSのフォロワー数といった数値が人の価値を決めるかのように扱われる。こうした「数値化」は、客観的で公正な判断を支える一方で、人間の多様な側面を単純化し、息苦しさを生み出すこともある。数字が可視化されることで比較が容易になり、私たちは無意識のうちに他者と自分を比べて落ち込み、自己価値を数値に委ねてしまう。教育や仕事の現場でも、本来の目的よりも指標そのものを上げることが優先されることがある。たとえば、救急の「4時間基準」や「大学合格者数ランキング」など、本来目安であるはずの数値が目的化し、意味を失ってしまう現象が生じている。さらに、私たちの活動を支える「動機づけ」も、外発的な評価や報酬に依存しがちだ。内発的動機づけ――すなわち「好き」「楽しい」「意味がある」という思いからの行動――を重視することが、学びや働きの豊かさにつながるのではないか。勉強や仕事は「成果を数値で示すため」だけでなく、「生きることを豊かにするため」にある。この視点を取り戻すことが、数値に支配されがちな現代社会を見つめ直す第一歩となるだろう。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

104
著者は教育心理学者。様々な具体例を用いて数値化の弊害を示したうえで、「数値化は道具であって目的ではない」「定量化できないことの価値を忘れない」などの主張はその通りだと思う。ただ、副題にある「なぜ手段が目的に変わるのか」という分析にまで議論が深化してないように感じるのは、読み手の能力の限界なんだろう。数値化の仕方が悪い(IQ、大学ランキング等)、数値の使い方が悪い(偏差値等)などの課題はあると思うが、「数値化中毒」という言葉で、恰も数値化すること自体が問題だというイメージを与えるとしたら、それは違うと思う。2026/04/11

うえぽん

50
心理学者が、偏差値、合否判定、KPI、いいねの数など、社会の「測りすぎ」問題について警鐘を鳴らし、数字との付き合い方を解説。4時間以内に95%の患者の処置終了との目標が救急車の病院前での滞留に繋がり、就職率100%維持の目標が大学院進学の推奨や確実な就職先の推薦に繋がるなど、数値が目的化すると、意味が失われたり、制度の腐敗に繋がることを警告。性格診断や未来予測のみに惑わされず、特有の状況で自分が大切にしていることや物語としての人生との複層的な理解を推奨。死ぬ直前に良かったと思える人生との目標は共感できる。2026/04/20

よっち

25
現代社会の偏差値・KPI・いいね数・歩数・GPAなど、あらゆるものを測る数値化の便利さと危険性を多角的に検証する1冊。学校に入るとテストの点数、通知表、級や段。受験では偏差値が人生に影響し、大学ではGPAが将来を規定する。社会に出れば売上、評価点、フォロワー数など、もともとは現実を改善するため数字がいつの間にか目標になってしまい、好きでやっていたことが「評価されるため」に変わり、結果として創造性や喜びが失われてしまう過程は実感としても良く分かりますし、適切に付き合う方法を模索するバランス感覚も大切ですね。2026/04/17

茶幸才斎

5
物事の実情を知るための指標に過ぎなかった数値が、いつしか良し悪しと序列を表す直接の基準と見なされ、数値の達成や維持が目的となってしまい、実態を置き去りに、ただ数値を上げることに最適化するよう我々の行動が変容してしまうことを、学力偏差値、KPI、大学ランキング、学術論文の被引用数、SNSのフォロワー数などを例に解説し、意義ある人生を送る上で測定された数値といかに付き合うべきか助言している本。数値は過去しか示さないが、それを無視して未来に自由な一歩を踏み出せるほど、私は若くない。人類は、もう若くないのかもね。2026/04/14

いけやん

2
数値化するという手段がいつの間にか目的になってしまった結果、色んなことが歪んでしまい、本来のあるべき姿が失われてしまう。こういうことが、日常的に起こっているなと感じていたところにこの本を読んだので、やっぱりそうかと再認識。 AIの進化により、数値化や見える化もどんどん進んでいるけれど、何のためにそれをするのかを見誤ると自分達が自分達を追い詰めることになることを常に意識しておかないといけない。表される数値の背景を考える力を養わなければと感じました。2026/03/28

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