内容説明
原初、医師とは神から病む人を救うべく、選ばれた人たちであった。それは伝統的に受け継がれてきていたが、近代になって徐々に見失われてきた。特に20世紀は極端になり、医師は個々人が自ら選択する職業になってしまった。しかも、病む人を救うという本来の目的とは異なり、病気を治す医療技術が優先される。医師は自分の医療技術によって、患者を選別する。人を救う人道的目的よりも、技術優先である。医師は、医師から技術士に変質した。
医師を、本来の目的で含む医療用語は、本道と内科の二語のみである。本道は室町時代には外科の対立語だった。内科は日本に西洋医学が導入された頃作られた新語であり、これも外科の対立語である。神から選ばれた一般内科医は消滅し、本道内科学は見失われた。一般内科医の神に対する義務感、責任感はどこにも存在しない。
現代医学では、安心は得られない。医療とは何か。話し合う時期が来ている。先人が「抜苦與楽」という扁額を掲げていたことは、医療と宗教の密接な関係を示している。
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