異常に非ず

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異常に非ず

  • 著者名:桜木紫乃【著】
  • 価格 ¥2,750(本体¥2,500)
  • 新潮社(2026/04発売)
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  • ISBN:9784103277279

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内容説明

昭和54年大阪、猟銃を持って銀行に侵入し、四人を殺害して立て籠もった花川清史は香川からヘリで駆け付けた母の説得を拒絶し、射殺された。事件解決後、新聞記者は犯人の生涯を掘り起こし、母は問い直し、愛人は振り返る。『ホテルローヤル』『家族じまい』などで親子、愛憎を描いてきた著者がその究極に迫る長篇小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

171
三菱銀行人質強殺事件の犯人梅川昭美は、貧家に生まれ勉強は苦手だがプライドだけは人一倍高いなどヒトラーに重なると以前から感じていた。しかし戦争で兵士として生き方を学んだヒトラーに対し、ミナミの最下層でもがき続けた梅川は「自分はこんなはずではない」という社会への怒りを蓄積していった。本書はそんな危うさに惹かれる気性の母親と愛人が、典型的なダメンズとウォーカーの関係が固まってしまった姿を小説として描き出す。自己評価の高い現実逃避の男と助けたい症候群の女の組み合わせは、男を焦らせ破滅させる結末しかもたらさないか。2026/05/17

いつでも母さん

147
桜木紫乃、どうしてもこの事件を基に描きたかったのか?何を?犯人を?生い立ちを?母を?社会を?「オレは精神異常やない。道徳と善悪をわきまえんだけや」これだけじゃ真相はわからない。銀行内で4人を殺し立てこもりの末、射殺された犯人・花川清史30歳。犯人の人生を追う新聞記者の近藤と、清史と同じ年の海原将志。彼らの追いかける先に何がみえるのか、母親と恋人・亜紀の想いも苦しいがそこに救いはない。母だけが味方と言うには犠牲者が浮かばれない。だが、この空気感は紛れもなく桜木紫乃なんだなぁ。2026/05/25

ゆみねこ

77
昭和54年三菱銀行立て籠り事件をモチーフにしたフィクション。事件の報道は覚えている。粗暴な男が銃を持って銀行に立て籠り警察官や行員を殺害、老母の説得にも耳を貸さずに狙撃されて死亡。書中では花川清史、彼がなぜ凶行に走ったのか?その30年の人生と関わった母や同棲していたホステスの証言をもとにその人生を掘り下げる新聞記者たち。団塊の世代生まれ、無知と貧困と承認欲求がこの男を作り上げたのだろうか?読み応えはあったが、終始重たく辛い読書になった。2026/05/25

ナミのママ

72
著者の新作は昭和54年「三菱銀行人質事件」をモデルにしている。現場で射殺された花川清史30歳とはどんな人物だったか。事件を追う新聞記者、母親、8年間暮らした女性が自分の過去と重ねていく。作者は母に焦点を当てたかったようだが、時代も環境も考え方もあまりに違いすぎて読み進めるだけで終わってしまった。むしろ一緒に暮らした亜紀の生き方が強烈に印象に残り、これから先どうなっていくのかとても気になる。許されることのできない犯人だが、どこで歪んでしまったのか。昭和という時代の狂乱が背景から影のようにのしかかってくる。2026/04/30

かんらんしゃ🎡

58
▼「オレは異常ではない」と銃を構えながら犯人は言った。ならばこの異常な事件は何故。三億円事件や浅間山荘ほどのインパクトを持ちながら人権保護の点から検証番組やドラマはほとんど無い。ここでも行内の様子は語らず、母と愛人の言葉で犯人の人物像を結ぶ。劣等感と見返したい気持ち、上昇志向とも言えない、ただ大きく見せたいだけで及んだ凶行か。脇・端役も含めて人物造形が素晴らしく密度の濃い本だった。▼事件後、閉店間際の銀行に売上入金しに行く時はトイレをすませ、ドアで出入りする客に眼を光らせていた。すぐ逃げられるようにと。2026/05/07

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