内容説明
江戸後期大坂のキリシタン摘発事件を題材にした歴史読み物です。主人公の豊田貢は、京都の都市下層民から遊女となり、その後宗教者としての才覚を現します。陰陽師の許状を得ると、女性門弟を多数抱え「八坂の見通し」と敬われ信者を増やしますが、邪宗を広める危険人物として主な門弟らとともに摘発され、大塩平八郎の吟味を受けるのでした。幕末に多く現れる庶民出の女性教祖の先駆とも言える生涯を魔女裁判風に見立て描きます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
サネキ
18
久しぶりの感想① そうそう、これが”歴史学”だよ!!!(面白かった) 底辺社会で色々苦しみを味わった女性たちの活躍を史料から写し出す、歴史ドキュメンタリー。逆に男性の登場人物が胡散臭さと鈍臭さを感じずにはいられないのが、対比になってる感じがあって面白い。 2026/03/17
花林糖
12
(図書館本)江戸後期。大塩平八郎(大坂東町奉行所与力)が担当した京坂キリシタン事件。下女奉公→遊女→宗教者になった豊田貢。その師匠水野軍記。史料を元に底辺に生きる女性たちが描かれており興味深く読了。年表や人物紹介有り。 2026/04/05
kenitirokikuti
6
図書館にて。「文政京阪キリシタン事件」。文政の頃、京阪で女祈祷師が金のトラブルで逮捕された。その祈祷師の師匠筋を辿ると、キリシタンの邪法うんぬんを称しており、大問題になった。取り調べた奉行所の与力に大塩平八郎がおり、明治時代の絵草紙「天保山浪花大塩」にも登場する。2026/04/08
つまみ食い
5
天明の飢饉により幼い頃に家族が離散し、遊女となり、一度は結婚した男にも裏切りられ人生を狂わされた女が、壮絶な精神力のもと祈祷師としてカリスマとなっていく…という壮絶な内容。2026/04/22
狐狸窟彦兵衛
1
大塩平八郎に摘発された「キリシタン」たち、豊田貢やさのの生活史を詳しく読み解いています。彼女らの「キリシタン」と、今我々が触れる「キリスト教」は、ずいぶん異なるものだったのかもしれません。それでも、救済を求める底辺から、人々に「失せ物」のありかを教え、富貴への道を「見通す」を与える側へと変貌していった過程には、あやかし、騙りでは説明しきないものを感じました。大変興味深く読み通しました。2026/02/26




