内容説明
一枚食べたらもう引きかえせないからね――。小説家の〈私〉は未施錠の多目的トイレで本のページを貪り喰う女を目撃する。女の警告に挑むかのように、私は蔵書を手に取り……(「食書」)。一泊二日で十万円。三十三歳、無職の〈私〉は怪しげな仕事を請け負う。他言無用の宗教儀式、そこには長い黒髪の女ばかりが集まっていた(「髪禍」)。人生を逸脱することの恐怖と恍惚に、極限まで踏み込む七編。(解説・大森望)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Shun
28
「残月記」著者のホラー作品集。インパクト強めの装丁が目を惹き、本作は人間の身体の部位に特化したホラー小説という奇抜なテーマが根底にあり、よく見ると表紙にもそれが表れている。さてどんな”禍”が待っているのかと一作目を開くと、鍵を閉め忘れた多目的トイレの便座の上で女性が本のページを破り貪り食う姿が見える。一瞬エロスな展開かと思いきや早々に異様な空間に足を踏み入れてしまったと気付き繰り広げられる怪奇幻想の世界。どの作品も異様さが想像の埒外で期待以上でした。特に”鼻”と”髪”の禍は身近な部位ゆえにとても不気味だ。2026/04/10
よっち
26
うっかり遭遇してしまった7つの禍。逃れられずそれに絡め取られてゆく人々の人生と結末を描いた連作短編集。本を貪ることに魅入られてしまった男。耳に潜り込む奇妙な男を知ってしまった男。向こうの世界を知ってしまい、そこで運命の出会いを果たした男。バスで声をかけてくる女たちに魅入られてゆく男。ハナバエを育てる農場から逃れられない男。髪を教義とした教団の教祖世代交代の儀式。電車内の裸夫から始まる大パニック。遭遇してはいけないものに気づいてしまい、魅入られてしまったそれぞれの結末には強く心揺さぶられるものがありました。2026/03/29
イシカミハサミ
21
自分にとってはまだ未開拓な部分の多い ジャンル“ホラー”の短編集。 身体のどこかのパーツという一貫したテーマがあるのだけれど、 いい意味で全くそれを感じないくらいいろいろな切り口が楽しめる。 “珠玉の”短編集という枕詞がよく似合う1冊。 小田さんは非常に寡作ということですが、 まだ単行本としてまとまっていない短編もあるということで、 今後出版される作品を楽しみに待ちたい。2026/04/28
ichi
15
安部公房。世にも奇妙な物語。黒。2026/04/17
ふるい
11
人体のパーツがモチーフとなった、怪奇幻想的な短篇集。生理的な嫌悪感と、抗いがたい恍惚が交互に押し寄せてくる。特に「耳もぐり」と「柔らかなところへ帰る」が刺さった。2026/04/24




