内容説明
ある言語学者が歩んできた道、それは多くの事件に満ちていた。方言研究者、3児の親、そして熱狂的プロ野球ファン。いくつもの顔をもつ著者が、学位取得、留学、就職、研究など、知られざる言語学者の実態と、言語学の奥深さを語る。
目次
まえがき
第一章 言語学者の飽きない一日
未明にうごめく影
アイデアは車輪の上で
言語学者の生い立ち
事件は会議室で(も)起こってる
夜のお楽しみ?
第二章 言語学との邂逅
日本語が上手ですね
話しているのに、教えられない
こんな学問があったとは
氷河期世代、社会へ
第三章 ことばを教える仕事
初めて外国語を学ぶ
隣国で日本語を教える
ようこそ熱帯の地へ!
第四章 言語学者の足取り
大学院受験
新幹線通学の始まり
学会デビュー
研究者の卵は孵化するのか
飛んで、メルボルン
博士論文のトラウマ
恐怖の公募戦線
第五章 リサーチの世界で生きる
ジョイ先生って女だったんすか!
研究するから金をくれ
地味で地道な研究活動
コロナ禍の研究
研究者生命を賭けて
第六章 言語の島でフィールドワーク
山を越え、谷を越え
フィールドワーク、始まる
朝から晩までフィールドワーク
方言がなくなって何が問題なんすか?
言語学者は口を出すな
私なりのサクセスストーリー
そして今日も
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
seacalf
47
面白い本ハンターの皆さまに朗報だ。抜群の一冊が見つかりました。著者は社会言語学がご専門だが、どんなにニッチで専門的すぎる研究を取り扱っていたとしても、語り手が優れていると俄然面白い読み物になる。まえがきを読むだけで筆者がユーモアたっぷりの愛すべき人物であることがわかる。期待できる。そして読み始めると顔のニヤケが止まらない。静岡表現『いいにする』などの本業話も勿論興味深いが、著者自身のパワフルでユーモア溢れる魅力のとりこになることうけあい。思わず静岡の大学まで行って聴講したくなってしまった。2026/09/08
逆丸カツハ
42
ツイッターで著者と相互フォローになったので買って読んでみた。ヘビーな本を読んで沈んだので、パッと毛色の違う本を読めてよかった。これは面白い。ユーモアあふれる逸話のなかに言語学の小話もあり。高校生や中学生後半で読んだら、興味の引き出しを増やせそう。良書でした!2026/03/03
ホークス
41
2026年刊。言語学者のエッセイ。谷口ジョイは本名で日本育ちの日米ハーフ。そして女性。前半は3人の子を産み育てながら大学の職と博士号をゲットする話。スリルとサスペンス、かつ愉快な語りで読ませる。後半のメインは静岡県の井川方言(北に飛び出た地域)の話。古い表現が残っていたり音の高低が特殊だったりする。一つの言葉にも土地の文化や生活が背景にある。衰退する方言を著者は何とか残したい。私は絶滅危惧の生物と近い感覚を覚える。人類はまだ多様性の本当の価値を勉強中だと思う。理解する前に滅ぼしてしまうのは残念な気がする。2026/08/16
ドラマチックガス
22
思っていたのと少し違ったけれど、むちゃくちゃ面白かった。過剰で無駄な注釈の数々、大好きです。大半を占める「激動の半生」も面白かったけど、最後のフィールドワークの話(こういうのを期待していた)が興味深すぎる。あぁいう専門的な部分を取り上げた続巻に期待。なぜか「おっちょこジョイ先生」という言葉が頭の中に残り続けている。2026/06/14
kuukazoo
17
面白かった!著者は社会言語学が専門で現在は静岡市最北端の井川という山間地域の危機方言(話者が100人いない)を研究。数学教育→日本語教師→言語学者という回り道、さらに3人の子を育てながら40歳近くで博士取得という困難を「だらああぁ!」と後舌母音パワー炸裂で乗り越えてきた(家事育児に協力的で料理上手な夫の存在も大)エピソードがおもろかしく語られる。危機方言の保存と継承が重要なのは「言葉を残すことが世界を残すことにつながる」から。単にコミュニケーションの道具ではない「言語」について短いけど熱く語られ印象深い。2026/08/30
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