内容説明
老舗ホテルでも注目を集めるなど、前途洋々だった若手パティシエの田城陶子。だがカリスマシェフに叱責されたのと時を同じくして、ポシュ(絞り袋)が扱えなくなる。人生を賭してきたお菓子作りができなくなった陶子に、知人のライター・小瀬が「思い出のオムレツ」について様々な人に聞き取る取材に付き合わないかと声をかけてきた。様々な人生模様と彼らを変えた味の記憶を辿る中で、止まっていた陶子の時間は少しずつ動きだす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
nyanco
21
「局所性ジストニア」って知りませんでした。才能のある若手パティシエ・田代陶子、突然、得意なポシェ(クリームの絞出し)が出来なくなる。高圧的なシェフパティシエのパワハラで心因性のものかと思ったのですが、局所性ジストニアと診断され、休職する。お菓子作りから離れてゆっくりする、しか治療方法がない。そんな時、直前にインタビューをされていたライターから小瀬美咲からオムレツについてのインタビューの帯同を乞われる。美咲さんが謎の人で、なぜ、彼女が陶子に関わってくるのかが解らない。→続2026/03/23
そうたそ
12
★★★☆☆ 全てのオムレツ好き、いや卵好きにおすすめしたい一作。若手パティシエだった主人公・陶子は、ある日を境に絞り袋が扱えなくなり、局所性ジストニアと診断される。お菓子作りができなくなり、失意の中で関わることになった「思い出のオムレツ」について聞き取る取材。取材に携わる中で、陶子もまた少しずつ変わり始めていく――。オムレツという料理の力強さたるや。メインの食材は卵だけ。そんなシンプルさなのにとても奥深い。本書を読めば、オムレツに救われたというのも、まんざら嘘ではないな、と思えるかもしれない。2026/03/10
K1
9
和菓子迷宮をぐるぐるまわって、洋菓子へ。これからというときに思うように手が動かなくなってしまい、休職。人との出会いの中で迷いながらも、再び現場復帰ー紆余曲折あったけど、人として成長したよね。2026/03/28
ゆり
6
姉妹作で挫折したのを忘れていて、帯の近藤先生の文と大好きな石井好子さんの引用に惹かれて購入。主人公の成長と前向きな性格、家族の温かみがいい味を出していてすごく好みでした。局所性ジストニアと似ている神経疾患を生まれつき患っているので、それによってやりたいことが制限されてしまう辛さも知っているので、主人公のつらさが手に取るようにわかったのもあり共感ばかりでした。タイトルは卵を割る音と、コツコツ病気と向き合うことにかけているのかなと思いました。オムレツの描写が凄くよくてオムレツが食べたくなりました。2026/03/29
taiyou gyousi
1
人生、たとえ壁にぶち当たったとしても、乗り越えようと思わなくていい。休んだり回り道したりしてもいい。そうすることで、マイナスに思えそうなことが、読みながら元気をもらえる作品だった。興味をもったことは、とにかく一度やってみたらいい。合わなければ、そこでやめたらいい。読み終わったあと、自分の周りのことをもう一度確かめ直してみようと思った。これは、いっちょやってやろうじゃないの!ま、そんな気分にさせてもらいました。そして、何よりオムレツが食べたくなる。…と思ったら、ちゃーんと巻末にレシピが載ってた。作ってみよ。2026/03/30




