内容説明
「多様性を尊ぶ自由主義」と「統合を求める民主主義」。この二つの論理がぶつかり合う克服できない対立の中に、現代社会が抱える問題の核心が潜んでいます。
誰もが一度は考えたことがある「なぜ差別はなくならないのか?」という問いに、本書は徹底的に切り込みます。アイデンティティとシティズンシップの緊張関係を丹念にひも解きながら、善悪二分法やスローガンの応酬を超え、SNS・運動現場・メディアでの言葉の衝突を鋭く読み解きます。
本書の特色は、「反発」「反感」を手がかりに差別を生む政治的・経済的・社会的背景を浮かび上がらせる点にあります。ポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)やハラスメントの論理を通じて、差別と正義の言説構造を批評的に検証します。
単行本発売後から「単純化を拒む刺激的な問い」を投げかける作品としても高く評価されており、「読む者に覚悟を迫る一冊」などとも言われています。
そんな本書の文庫化にあたり、新章を加筆。哲学者・千葉雅也氏の解説も収録し、アイデンティティ・ポリティクスとシティズンシップの対立構造が、より立体的に読める形で甦ります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
辻本 敏久
1
PCと聞けばパソコンしか想像できなかった。いつ何時自分も差別する側になりうる場合がある。その時、自分自身で気づくことが出来るのか。2026/04/01
tsumahiro
0
近年流行りのポリコレと、ヘイトスピーチや右派系ポピュリズムの台頭への考察をベースに、差別をめぐるアイデンティティとシチズンシップの対立、自由主義と民主主義が並立する矛盾、道徳の二面性について丁寧に分析されていました。読んで思ったのは、人間が言語で思考する社会性動物である限り、差別は根絶できないということでした。人種や性別を超越し仮に地球上でアイデンティティが統合されたとしても、代わって優生思想が台頭するような気がします。社会が単一・一枚岩になれない以上、社会間の対立や内集団バイアスの克服は不可能に近い。2026/04/10




