内容説明
人間は、つねに疑念を抱く生き物である。
錯覚や幻覚、虚偽(フェイク)や真実(トゥルース)、善や悪、陰謀論とどう付き合い、向き合うか。
ヒントは古来、思想家たちが探究してきた懐疑=判断保留の哲学にある。
古代ギリシアで興った懐疑論は、ルネサンス期に再発見され、近代にデカルトやヒュームらが展開し、ウィトゲンシュタイン以降、新しく花を開く。
2500年の軌跡から人間の思考の落とし穴を知り、心の平安にいたる手引書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
逆丸カツハ
43
良書であった。生活に戻るよう諭すウィトゲンシュタインの話に落ち着いた。しかし、例えばマルクスのような論者からすれば、生活世界そのものが宙に浮いてしまっていると言うかもしれない。生活に戻る、生活を批判する、そのループが必要なのだろうなぁ。2026/04/15
特盛
33
評価4/5。古今の懐疑論についてヴィトゲンシュタイン研究者の古田先生がまとめて考察している。古代ギリシャ、近代、現代と様々な形で懐疑論は人に取りつく。世界を俯瞰しすぎて後退し虚無に陥るような懐疑論もあれば、独断と偏見への治療として懐疑論もある。今ここ、から離れて「過激な」懐疑論(そもそも世界は存在していないかもしれない、系の問など)を展開する論者については、今ここの人生、生活形式、世界像に対して絶望し、そしてそこからの逃避をはかりたい言語行為の一つではないか、との印象を持った。2026/07/27
buuupuuu
30
知的謙虚さとでも言えそうな古代の懐疑主義と、懐疑を絶対化させてしまう近代以降の懐疑論を対比させて、ウィトゲンシュタインを前者に近い立場と位置づけている。外部からの視点がありえない以上、全面的な懐疑は不可能であり、懐疑は具体的個別的なものの中でのみ成立する。古代の懐疑主義には、自分が他者に支えられていることへの信頼があるように思う。懐疑論と陰謀論の近さと遠さ、そしてそこでの情念の役割について論じられているのが面白かったが、懐疑と冷笑との近さも気にかかる。冷笑の欠点は、現実的な力に弱く、理想を認めないことだ。2026/05/04
∃.狂茶党
30
第四章が面白い。 それまでの、懐疑論の歴史が、前提となるので、ここだけきり離すわけにはいかないが、一つの結論めいたものが述べられています。 第五章は、実用編。 この本は、仏教の考えは取り入れてないものの、それに近しい領域に触れる。 すなわち、いかに生きるか。 「ものみなむなしあだなれや、水面の月に幻灯籠、幻のみと説きたもう」 これは、浄土真宗の教えだが、もう少し現実肯定的です。2026/03/05
サケ太
22
様々な考え方が知れて面白い。懐疑論。個人的にはあまり馴染みのない言葉であったものの、「胡蝶の夢」、「水槽の中の脳」といった例はわかりやすかった。疑いを持つということの意味。様々な懐疑主義。陰謀論の端緒というべき、過激な懐疑論。性急さという、治療すべき病い。恐れをなくすための、思考と考察。興味深い1冊だった。2026/02/28
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