内容説明
ハン・ガン推薦。最注目の英国作家が描く、喪失、回復、奇妙なカラス
母を突然亡くした幼い兄弟と、その父親。喪失の重みが沁みこみ始めたロンドンのフラットに、奇妙な喋るカラスがやってきてこう言う――おまえがおれをいらなくなるまでここにいる。ハン・ガンが「いびつなほどのぬくもりと美しさを秘めた本」と絶賛した傑作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
52
短くも強烈に独創的。日常を綴ったエッセイから詩や寓話、はたまた本の目次を模したものまで。多彩な表現のコラージュによって、複雑で途轍もなく大きな”悲しみ”に形を与えようとしている。カラスの解釈は読者それぞれに委ねられているらしいが、悲しみの断片が黒々とした羽で、寄り集まったものがカラスの形を成しているように見えた。非常に美しく感動的な実験小説の傑作。何度も読み返したいし、映像化されたものも機会があれば観てみたい(かなり賛否両論あるみたいだが)。2026/02/21
フランソワーズ
27
ストーリーを追うことを諦めれば、その断片断片を楽しめる。愛する妻を失った夫、愛する母を失った息子ふたりの、悲しみの深さだけを描くのではなく、全く無関係なこともちょいちょい出てくる。そしてそれが人の人生っていうものと、勝手に納得してみた。カラスがいなければ、もっと収拾がつかなかったかもしれない。2026/03/23
tom
24
妻が亡くなった。夫と幼い子ども二人が残された。そこに現れたのがカラス。カラスは、「おまえがおれをいらなくなるまでここにいる。」と宣言する。これをみて、ファンタジーなのだろうと勝手に思って図書館に注文する。読んでみたのだけど、ファンタジーと思ったのは大間違い。モーニング・プロセスを語る本だった。響く人には響くかもしれないという読後感。冒頭に置かれたのエミリー・ディキンソンの詩がよろしい。「愛こそすべて 愛についてわかるのはそれだけ それだけでいい、その荷が 轍と釣り合っていれば」、ふむふむと思う。2026/04/22
スイ
21
妻・母を亡くした夫・兄弟と、家にやってきたカラスのこと。 読みながらずっと兄弟のところで『悪童日記』が過ぎっていたのだけど、著者が参考図書として挙げていたとわかって納得。 悲しみは時間が経っても消えることはなく、波のように寄せては返す、時折大きく打ち寄せる。 その中でも生きていくこと。 美しい文章だった。 しかし映画化されたの?!どうやって?!2026/06/02
練りようかん
21
妻を亡くした父親と息子たち、そしてカラスの視点で展開。父親に“〜いらなくなるまでここにいる”と言うカラス。寄り添うにしては高圧的でおかしみを感じさせる口ぶりだ。まるで母親を生き返らせられるかのように唆したり、恋しいと話す父親にきついジョークを飛ばしたり、癒すというイメージから遠いのが逆に良い。もういないんだと実感するものごとは生活の中に幾らでもあって、「その小さな家族にはたくさんの罰と期待がありました」という一文が象徴的。最後は随分時計の針が進むけれど、喪失感はなくなることはない。それが一番心に残った。2026/04/23




