内容説明
ビル清掃員・三矢唯の真の仕事は地面師詐欺の“なりすまし役”を手配すること。一度は全てを失った彼女は、窮地に陥った人々に大金をもたらす仕事を「人助け」と信じ、半生を投じてきた。やがて迎えた人生最後の案件、身体に複数の欠損を持つ老女の手配を依頼され――裏社会を誇り高く生きる女の姿を描く痛快ノワール!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はにこ
81
食堂系じゃない山口先生の本を読むのは初めて。地面師のお話。若くして人生につまずいた唯が、地面師の仕事に。普段は掃除のおばちゃんとして働きながら情報を掌握。見事な手配っぷり。ただの悪じゃないのが良いね。結構面白かった。2026/05/14
Ikutan
67
詐欺の本が続いてしまいましたが、同じ詐欺でも、こちらは、地面師詐欺で、騙し取ったお金でどん底に堕ちた人を救い出すお話。普通のOLだった唯は、婚約者に騙され、特殊法人詐欺に遭い人生が暗転。仲居として働く旅館で、客の本条に誘われ地面師詐欺の一味となる。売人に上手くなりすまして高額の報酬を得てからは、なりすまし人を手配する側に。昭和からバブルを経て令和まで、彼女が関わった地面師詐欺の数々。ハラハラドキドキしながらも、彼女の頭の良さと度胸に、何とも痛快な読み心地。いつもと違う別テイストの山口さんも面白かった。2026/04/22
チーママ
61
ノワール小説は久しぶりだったけれど、たくさんの人気シリーズを手がける山口さんだけあって文章がこなれている。読みやすくてあっという間に引き込まれた。表向きはオフィスビルの清掃員、でも裏では地面師詐欺のなりすましを手配する女・唯が主人公。彼女がこの道に足を踏み入れるきっかけになった事件が悪質でやりきれず、いつのまにか彼女を応援していた。地面師詐欺はれっきとした犯罪。けれど生活困窮者を思いやる彼女の気持ちは本物だったと思う。高齢になっても道行く人を見かけては「もっと人助けをしたい」とは…懲りない人だ。2026/04/16
シャコタンブルー
60
2017年積水ハウス地面師詐欺事件を思い出す。当時は最大手の不動産デベロッパーが騙されたことに驚かされたが、本書は手配師からの視点が斬新で面白く読めた。騙され女が騙す側になる。そこには躊躇いも後悔も無く、むしろ生き甲斐のある生業に出会ったようにも思える。女は度胸(笑) あの緊迫する場面での演技は本人以上に本人になり切っている凄みを感じた。「この人たちは生きているのではない。死ぬのを待っているだけだ」身勝手な論理を振りかざし悪へと誘う。狂気と使命感が渾然一体となり突き進む。今も誰かが騙されている。2026/05/17
Karl Heintz Schneider
49
結婚詐欺師にだまされて仕事も家族も恋人も失った25歳の唯。失意の中、東京を離れ地方旅館で中居としてひっそり暮らすが、宿泊客の男性に誘われて東京に戻り地面師の一味として、今度は人をだます方に。これだけみるとどんどん堕ちてゆくように感じるが、その時々で決意を持って人生を選択してゆく姿が潔い。このタイトルをパッと見た時、原宏一さんあたりがつけそうだと思った。ヒトやモノを手配するハナシかと思ったら詐欺師と知ってビックリ。山口さんらしくないと、いぶかりながら読み進めたが面白かった!序盤からグイグイ引き込まれてゆく。2026/05/18




