内容説明
「あたしって、何、」真っ赤になった両脚をティッシュで拭きながら、涙が、言葉があふれ出して止められない――。国籍とは何か? 母語とは何か? 性的指向とは何か? 香港で生まれ、移民の養父母のもと日本で育った女子高生、星瑤はアイデンティティの揺らぎを全力で駆け抜ける。絶望よりも速く。新世代の才能登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
シャコタンブルー
51
タイトルと表紙のセンスが良いので、どんな話なのか興味をひかれた。93Pの中に詰め込まれた多数の物語を軽快なスピードと一見無軌道に思えるリズムで読ませ何だか心地よかった。独特の言葉の使い方が巧みでまるで誌を読んでいるような気分に陥った。そして話の骨格がしっかりしているので、あっちこっちと脇道を走っているようでも王道に戻ってくる安心感もあった。作者は新潮新人賞の受賞時は高校生3年生だったので、これからどんな作品を紡ぐのか楽しみだ。2026/05/07
えんちゃん
49
2007年生まれの著者!わずか90頁の薄きこの一冊には、アイデンティティの咆哮が詰まっていました。日本育ちの香港人シンユの一人称で語られる、国籍とは?血のつながり?友情と愛情の違って?そもそも自分ってなに?の疑問が、もの凄い速さで頭の中を駆け抜けてゆく。自由律俳句のような文章が新鮮で、若い感性がひたすら眩しい。旬って感じ。あれこれ大人のクソバ・・アドバイスに邪魔されずに、しばらくはこのままフレッシュな文章を紡いで欲しいです。2026/05/25
雪丸 風人
19
主人公は香港生まれの高校一年生。日本の養父母の元で生きる彼女が、自身のアイデンティティに思い悩みながら、ままならない日々を懸命に駆ける姿を活写した物語です。葛藤のあまり頼りなく揺れ動く心象風景が、ときにくどく感じられる語り口で見事に表現されていましたね。遠き香港の統制強化が生み出す問題に戸惑い、近き友との間に生じた事態に思いあぐねる少女が、紛れもなくそこに実在するように感じられましたよ。なんたるリアリティ!高校三年生がこれを書く?末恐ろしい作家さんだと言うほかありません。(対象年齢は13歳半以上かな?)2026/03/28
七草
13
女性かと思ったら男性?の筆者は現在19歳。あたし、黄星瑤(ウォンシンユ)は香港生まれ、日本育ち、両親は香港人の高1女子高生。出自や家族、私は何人?と悩む。うぇあ、あむ、あい、ふろむ?雑多で飾ることのないまんまの雑多感、絶妙なたとえが笑える。傷つきやすい年頃の傷心、独特の文体が清新で、瑞々しい感受性が心地よい。タイトルに納得。さらっと読めるけど、根っこの部分のナショナリティーやアイデンティティーについて考えさせられた。2026/04/18
Hanna
6
確かに、このような坂道は走ったことがないです。2026/04/04




